【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

自民党にも常識の深い議員もいる

2015-06-26 20:53:01 | 転載と私見
自民党にも常識の深い議員もいる
               櫻井智志




【東京新聞転載】
「ゴリ押し疑問」「参院軽視」 国会延長、自民から異論
2015年6月26日 朝刊

 安全保障関連法案の成立を図るため、通常国会の会期を戦後最長の九十五日間延長した安倍政権の国会運営に対し、自民党内から二十五日、異論が出た。安保法案をめぐる批判は、これまで党総務会での村上誠一郎元行政改革担当相ら一部にとどまっていたが、大幅な会期延長に党内の不満があることが表面化した。



 山本幸三元経済産業副大臣は岸田派の会合で、安保法案について「世論(の支持を得るの)はそう簡単でないと認識しないと、大変なことになる」と指摘。有権者から「安倍政権の傲慢(ごうまん)なやり方は我慢ならない」という手紙が届いたことに触れ、「ゴリ押しするやり方が本当にいいのか疑問に思っている」と異を唱えた。





 伊吹文明元衆院議長は二階派の会合で、衆院での再可決を視野に会期延長幅を決めたとの見方に関し「そう解説する人が党執行部にいるのは誠に由々しいことで、参院自民党は断固抗議すべきだ」と強調。衆院を通過した法案が六十日たっても参院で採決されない場合、衆院が三分の二以上の賛成で成立させられる憲法の規定の適用を前提とするのは、参院軽視や不要論につながると懸念を示した。


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私見
 自民党の岸田派山本幸三氏、二階派の伊吹文明氏。村上誠一郎氏。しだいに自民党内部で押さえつけられていた不満が噴き出す。自民党は、アメリカネオコンの後押しがあるから、安倍晋三が再選するかも知れないが、自民党内で「乱」がないとはいえない。
 それはあまりに安倍晋三ととりまきのあまりに程度が低い政治に、まともな保守政治家たちもがまんが限界をこえてきたからだ。
 

志位和夫、日刊ゲンダイ・インタビュー

2015-06-26 17:38:34 | 転載
==================引用開始========================
日刊ゲンダイ2015年6月26日

注目の人直撃インタビュー
大義があれば選挙協力にも柔軟に対応していきます
志位和夫日本共産党委員長


(*webに掲載されないようです。全文新聞記事をパソコンで書き写しました。漢字の表記で数カ所疑問を感じましたが、新聞記事どおりにそのまま転載しました。例:趣意書と主意書・答えると応えるなど。ナンバリングは小生-櫻井注)




①《党首討論では舌鋒鋭く安倍首相に迫るが、国政選挙では独自路線を歩む日本共産党。戦争法案を阻止するために野党はどこまで共闘できるのか。委員長のホンネに迫った。》
―5月20日の党首討論が相当、話題になりましたね。「ポツダム宣言」の認識を認めないのか、と迫り、安倍首相が「つまびらかに読んでいないので論評は差し控えたい」と答えたアレです。
 どうしても過去の日本の戦争を「間違った戦争」と言いたくない。そのためにああいう苦しい答弁になったんでしょうね。
―その後、別の野党議員が「読んだことがあるのか、読んだけど記憶にないのか」と質問主意書を出して、安倍内閣は「読んでいる」という答弁書を出しました。
 「読んでいる」ということを答弁書として「閣議決定」するのもおかしいのだけれど、読んでいてあの答弁だとしたら、「間違った戦争」であると認めた
くない。そういう解釈しか成り立ちませんね。
―どうして、そういう質問をしたんですか?
 これは戦争法案と深い関わりがあるんです。過去の戦争に対するきちんとした反省があるのかないのか。そういう認識がない人に集団的自衛権行使の権限を与えたら、大変危ういことになる。戦争法案を議論する前提となる土俵を設定するために、過去の日本の戦争に対する認識はきちんと聞いておかなければいけないと思ったんです。




②《この内閣には戦争法案を扱う資格がない》
―しかし、首相は「誤りだった」と認めない。
 村山談話についても「全体として受け継ぐ」と言っていますが、核心部分、「植民地支配と侵略に対する痛切な反省とお詫び」については「受け継ぐ」
とは言わないわけですよ。国会でも、私は、過去の戦争は「間違った戦争だったのか」「正しい戦争だったのか」とシンプルに聞きましたが、お答えがない。つまり、本心は「間違った戦争」だと思っていないのでしょう。日独伊3国の戦争は侵略戦争だった。その反省の上に戦後の国際政治があるのに、それを明言できないような政権に、そもそも戦争法案を扱う資格はありません。
―すべての戦争は侵略ではなく自衛のためだと言って始まっていますし、そうした善意の判断ができない政権であれば、米国が始めた戦争の是非も判断できないのではないか。当然、そういう懸念が浮かびますね。安倍首相は「違法な武力行使をした国を日本が支援かることはない」とか言っていますが、怪しいものです。
 日本は、戦後、米国の戦争に一度も「ノー」と言ったことがないんです。ベトナム侵略戦争、グレナダ侵略、リビア爆撃、パナマ軍事侵攻、イラク侵略戦争と米国はたくさんの先制攻撃をやってきました。このうちグレナダ、リビア、パナマへの武力攻撃については、国連総会で圧倒的多数で非難決議が採択されています。しかし、日本政府は非難決議に反対したり、棄権してきた。これほど米国に無条件追随する国は、世界の主要国の中では日本だけです。





③《米国に無条件追随する日本は無法者国家になる》
―そんな日本が米国から「協力しろ」と言われて、断れるわけがないんですよね?
 そうです。米国の言いなりの国が集団的自衛権を持つことの危険性、ここが肝になります。これまでは「憲法上、集団的自衛権は行使できません」と言えたわけです。それを取っ払えば、断れなくなる。米国の無法な戦争に参戦し、日本自身が無法者国家になってしまう。
―志位さんに国会で追及された岸田外相は「グレナダ派兵やパナマ軍事介入に対しては日本政府は遺憾の意を表明している」と言いましたが、この答弁にも驚かされました。「遺憾の意」は表明しているが、それを表明した文書には後段があって「他方、米国の事情は理解できる」と続く。やっぱり米国には逆らえないのに、そういうところはぬぐって、都合のいいところだけを抜き取って答弁する。
 さらに安倍首相にただしたら「理解は示したが支持はしていない」という苦しい答弁をしていました。
―詭弁(きべん)政権じゃないですか?
 首相の答弁は全体として不誠実。真正面から答えず、逃げとゴマカシで、その場を取り繕う。だから、こちらは動かせない事実、覆せない論理で追い詰めていくのが大事だと思っています。相手が不誠実であればあるほど、こちらは冷静に事実と論理で対応する。そうしないと、国民は「何をやっているんだ」となる。
―その国民は安倍政権を倒すためになぜ、野党共闘ができないのか、と思っていますよ。共産党は他の野党との選挙協力や候補者調整はできないんですか?
まずはこの法案を潰さないといけない。そのために野党が一つの固まりになって力を合わせないといけない。延長国会への対応では野党5党首(共産、民主、維新、生活、社民)が集まり、反対で一致しました。野党が最大限まとまって連動(運動?新聞破損で判読できず)する。そういうことがすごく大事だと思います。集団的自衛権についての立場はそれぞれの党で違うが、今の政府案は許されない。この点では一致できると思うんですね。





④《国民の7、8割が反対すれば安倍政権もムチャはできない》
―他の野党は水面下で再編の話までしている。共産党だけが独自路線のようにも見えますよ?
 この法案でどうやって政権を追いつめていくかについては、幹事長と書記局長、国対委員長レベル、現場レベルではいろいろ話し合っています。
―目の前の法案での共闘とおっしゃったけど、沖縄での衆院選(2014年12月)では候補者調整をして、結果的に野党が全選挙区で勝った。大阪都構想
では共産党が[大阪]自民党と共闘して、都構想を潰した。やっぱり共闘すると強いじゃないですか。
 共闘する大義がある時は柔軟に対応します。沖縄では辺野古の新基地建設反対という大義です。大阪では大阪市を解体し、暮らしと自治を壊すことへの反対です。大阪では自民党の方々と一緒に宣伝カーに乗って訴えた。大阪市民のために暮らしと自治を守るということで共闘した。沖縄の翁長さんは、かつては自民党の県連幹事長だった人だけど、共闘してみたら気持ちが通じ合って、深く信頼できる友人を得たという気持ちです。
―それじゃあ、国政レベルでも共闘すればいいじゃないですか。
 国政選挙では共闘する場合には国政の基本問題での一致―大義が必要だと思います。大義がないところでくっついても有権者への責任を果たせない。今度の岩手県知事選(8月20日告示、9月6日投票)では現職の達増拓也知事を自主的に応援することを決めました。これは震災復興、被災地の皆さんのためです。宮城県は医療費や介護保険の減免制度を打ち切ったが、岩手県は継続してきた。県立病院も再建する。達増さんは被災者に寄り添って活動している。こうして大義がおのずと明確になってくる状況になれば対応しているし、今後も対応していきます。
―そういうのはどういう手続きで決めるんですか?委員長の裁量ですか?
 現地の皆さんと連絡を取り合いながら、進めてきたんですよ。沖縄は去年1年間で考えられないような変化がありました。名護市長選で稲嶺進市長が勝った。稲嶺さんももともと保守の人なんですよ。翁長さんが勝った知事選では劇的な保革共闘が実現して衆議院選挙でも全て勝った。大義があったからです。
―戦争法案を潰す。これは立派な大義になるんじゃないですか?
 今は法案を廃案にすること、そのために野党共闘を最大限追求する。そこに全力を挙げます。世論は劇的に変わってきています。憲法学会も日本弁護士連合会も断固反対。赤いものを身に着けた女性が国会を包囲した[注:レッド・アクション]。若者の大規模なデモも話題になった。世論の反対が7割、8割に達すれば、いくら安倍政権がムチャクチャでも動きが取れなくなると思います。
=============================引用・了====================

自民党は保守リベラル派と全体主義派に特化されてきた

2015-06-26 08:12:20 | 言論と政治
小林よしのり氏は「会合中止は国会が空転しているから、と説明されただけだ。執行部への抵抗勢力になるのが怖くなり、負けたんだと思う。自民は全体主義になっている」と語った
               櫻井智志

 なぜ保守の論客でもある漫画家の小林氏がそのように語ったか?
孫崎享氏があきらかにされている。 


====引用開始=================
孫崎享のつぶやき
自民党は今や全体主義国家の党。「異論者にどう報復するか」が公然と語られる時代に。
2015-06-26 07:19



A事実関係

1:「自民、小林よしのり氏招く勉強会中止 党内の異論封じか」

安全保障関連法案をめぐり、自民党執行部が党内の異論封じへ引き締めを図っている。25日に予定されていたリベラル系議員の勉強会に「時期が悪い」と注文をつけ、結局、中止に。OB議員の批判にも神経をとがらせる。法案への国民の理解が広がらず、憲法学者から「違憲」と指摘された焦りからか、身内の動向にまで敏感になっている。

中止に追い込まれたのは、党内ハト派とされる「宏池会」(岸田派)の武井俊輔、無派閥の石崎徹両衆院議員らが立ち上げた「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」だ。この日、漫画家の小林よしのり氏を招いて5回目の会合を開く予定だったが、2日前に急きょ中止が発表された。

小林氏は、自衛隊を軍隊と位置づけるべきだとの立場から、改憲を主張する保守派の論客だ。憲法の解釈を変更して集団的自衛権を使えるようにした安倍晋三首相に批判的な立場だ。

複数の議員によると今月中旬、党幹部の一人が「分厚い保守政治の会」のメンバーに対し、「安全保障関連法案への審議に影響がある」として法案成立まで会合を開かないよう求めたという。別の党幹部は「小林氏を呼べば、政権批判をされ、憲法学者が法案を違憲だと指摘した二の舞いになる」と打ち明ける。

一方、メンバーには「党内の幅広い意見が消える」との声もあり、政治学者の御厨貴氏を呼ぶ予定だった次回の会合は中止せず、そのまま開くことを決めた。

小林氏は朝日新聞の取材に「会合中止は国会が空転しているから、と説明されただけだ。執行部への抵抗勢力になるのが怖くなり、負けたんだと思う。自民は全体主義になっている」と語った。(26日朝日)

2:自民・若手議員の初会合で“報道機関への批判”相次ぐ

 安倍総理に近い自民党の若手議員が初会合を開きました。この中では、安全保障関連法案に対する国民の理解が進まない現状について、報道機関を批判する意見が相次ぎました。

初会合にはおよそ40人の自民党の若手議員が参加しました。出席者によりますと、安保法案に対する国民の理解が進んでいない現状について、講師として招いた作家の百田尚樹氏からは「政治家は国民に対してアピールが下手だ」との指摘がありました。

安保法案を批判する報道機関について議員からは、「マスコミを懲らしめるには広告料収入を減らすようにする」「不買運動するのを働きかけて欲しい」などとの意見が出ました。(TBS系(JNN) 6月26日)

B:評価

・言論の自由は民主主義の基盤である。

・今政府、および政権与党の「政権擁護」と「民主主義確保」の2つのベクトルのどちらで実施されているかと言えば、間違いなく「政権擁護」の観点でありと「民主主義確保」の考え方で動いている様相は見えない。

・小林氏は「憲法第9条護憲」を厳しく批判してきており、この勉強会を中止したことは如何に今日の自民党が狭い視野しか持たない、批判は受け付けない政党になっているかを示す、

・「国境なき記者団」は2015年報道の自由度を世界で61番目と評価している。

・さらに危険なのは、「異なる発言をする者、機関に報復していい」という思想が公然と語られていることである。「暗殺」こそしないが、共通の考え方がある。

=======引用終了=======

 言葉の上でのレトリックではない。安倍自民党は、自民党内に台頭した政治的勢力のシンボリックな存在であって、安倍氏個人の資質や性格だけに帰することで解決するようなものでないことに、最近ようやく私は気付いた。保守リベラルの自民党は、大平正芳、伊東正義、河野洋平、加藤紘一らの政治家に代表される。それに比して、自民党内の全体主義派は、中曽根康弘、(小泉純一郎)、安倍晋三らの極右反動勢力である。自民党全体主義派と闘う上で、自民党本流の政治勢力、野中広務、古賀誠、山崎拓などのかつての自民党首脳だったOBとも共闘しうる基盤が形成されつつある。

 もういちどいう。「自民党全体主義・極右反動派」との闘いは、国民的規模の抵抗なくして勝利しえない。