【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

仮説【枝野幸男立憲民主党は立憲保守政権をめざしているのだろう】 (増補)櫻井 智志

2019-04-10 23:15:53 | 社会・政治思想・歴史
 
構成
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー                           
Ⅰ:枝野幸男立憲民主党は立憲保守政権をめざしているという着想
Ⅱ:立憲民主党よ、初志は何処へいったのか~2017衆院選と2019神奈川県知事選
Ⅲ:小沢一郎氏と枝野幸男氏は政権交代をめざしているが器が違う
Ⅳ:増補資料 統一地方選2019・黒岩知事3選 圧勝の先に(下)集大成へ高まる緊張(神奈川新聞 2019年04月10日 05:00 )

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Ⅰ:枝野幸男立憲民主党は立憲保守政権をめざしているという着想

「立憲保守政権」とは、自民党安倍政権の➀憲法の論理を無視した独断的独裁的政治➁憲法を軍事的管理主義によって恣意的誘導的改定をもくろむ進め方 の大きく2点とは真逆の政権である。

枝野幸男氏は菅直人民主党政権の官房長官を務めた。おりしも東日本大震災が発生した。枝野官房長官は、同時の福島原発爆発事故の現状を詳細に国民に向けて寝る暇もないほどの説明報告に誠心誠意取り組んだ。この時に私は、専門家からの説明の内容への批判に同感したけれど、枝野氏の国民の不安に対応する力量に好感を覚えた。

新党さきがけの政治家として活躍した田中秀征氏は、『自民党本流と保守本流 保守二党ふたたび』(2018年講談社)を著した。自民党本流は改憲を本旨として岸信介から始まり安倍晋三に至る。保守本流は護憲主義の立場であり、石橋湛山から始まり、宮沢喜一・田中角栄・加藤紘一に連なるが、「加藤の乱」を契機に途絶え自民党はそれから「保守本流」が途絶えずっと「自民党本流」の政治家が総裁総理をになってきた。

枝野氏は、反安倍反自民のスタンスに立つ。だが「野党共闘」や「市民と野党の共闘」よりも、田中秀征氏のいう「保守本流政権」を創ることで、安倍独裁政治を政権交代することをめざしている。枝野氏の構想は政党共闘よりも立憲民主党そのものを、自民党に代わる一大勢力に発展させることだ。いくつかの政党を合併吸収や提携はあっても、連立政権をおそらく考えてはいまい。

その志は構想大と言えるが、現場で自民党にのみ込まれたり、篭絡されていく危険はないだろうか?私は、黒岩祐治氏を最初に知事選で推薦した旧民主党の中心的な勢力である立憲民主党に対して三選出馬の黒岩氏がとった対応を怪訝に思う。黒岩氏に推薦を申し入れた立民党に、なんと選挙を直前に黒岩知事は推薦を突き返したのだ。カジノ誘致問題に両者のやりとりに食い違いがあって、知事は怒り・・・。立憲民主党は誰も支持しない決定を決めた。

 神奈川県知事選と立憲民主党との関連に以前まとめた記事を、次に掲載する。



 Ⅱ:立憲民主党よ、初志は何処へいったのか~2017衆院選と2019神奈川県知事選
                                 
➀ 2017衆院選

2017衆院選の直前に、小池百合子都知事が、民進党を分裂させ「希望の党」を立ち上げたことで順調に進んでいた野党共闘は頓挫した。なかでも、分裂した民進党から、枝野幸男氏が「立憲民主党」をたちあげ、民主党=民進党の中での立憲主義と国民側に立つ政策を継承する志を示した。

 だが、国会勢力が維持されるかどうかの現実問題として危機は続いた。この時に、立憲民主党に手を差し伸べ支援したのが、日本共産党だった。従来全選挙区に候補者を擁立してきた共産党は、立憲民主党が立候補した選挙区で早くから内定し準備をしてきた候補をおろすという、驚天動地と言って大げさでない方針を決めて全国の選挙区で実施した。
  例を私が住む神奈川県の実際に焦点をあて、毎日新聞記事をデータとしてお借りする。

神奈川選挙区は18の小選挙区にわかれる。立憲民主党は、6つの選挙区に候補を出した。日本共産党は立憲民主党が候補を擁立した5つの選挙区で候補をおろした。両党が候補を出したのは、現内閣官房長官菅 義偉氏が立候補した神奈川2区だけである。

神奈川2区
当 菅  義偉 (68) 自民 南関東ブロック 前 123,218票 57.1%
高橋 野枝 (43) 立憲 南関東ブロック 新 47,191票 21.9%
橋本 久美 (48) 希望 南関東ブロック 新 28,635票 13.3%
大貫 清文 (60) 共産 新 16,699票 7.7%

 また日本共産党は、社会民主党が唯一立候補した選挙区でも、自党候補をおろしていえる。

神奈川15区
当 河野 太郎 (54) 自民 南関東ブロック 前 159,647票 67.6%
佐々木克己 (62) 社民 南関東ブロック 新 38,242票 16.2%
乃木 涼介 (53) 希望 南関東ブロック 新 38,162票 16.2%

 このような野党協力について、共産党内部でも、現在では国会議員選挙で候補をおろす必要はないと意見を表明するベテランOBの意見もある。
 2017衆院選では、そのような選挙協力によってどうなったか。2区15区は重複を避ける。


2017衆院選神奈川選挙区共産・立民協力区の開票結果

神奈川1区
当 松本  純 (67) 自民 南関東ブロック 前 103,070票 47.8%
当比 篠原  豪 (42) 立憲 南関東ブロック 前 78,019票 36.2%
長島 一由 (50) 希望 南関東ブロック 元 34,433票 16.0%

神奈川4区
当 早稲田夕季 (58) 立憲 南関東ブロック 新 67,020票 34.8%
当比 山本 朋広 (42) 自民 南関東ブロック 前 55,700票 28.9%
浅尾慶一郎 (53) 無 前 51,495票 26.7%
風間 法子 (47) 希望 南関東ブロック 新 18,618票 9.7%


神奈川6区
当 青柳陽一郎 (48) 立憲 南関東ブロック 前 86,291票 44.6%
上田  勇 (59) 公明 前 82,788票 42.8%
当比 串田 誠一 (59) 維新 南関東ブロック 新 24,424票 12.6%

神奈川7区
当 鈴木 馨祐 (40) 自民 南関東ブロック 前 103,324票 47.0%
当比 中谷 一馬 (34) 立憲 南関東ブロック 新 87,819票 40.0%
川野  案 (35) 希望 南関東ブロック 新 28,685票 13.1%

神奈川12区
当 阿部 知子 (69) 立憲 南関東ブロック 前 86,550票 43.2%
当比 星野 剛士 (54) 自民 南関東ブロック 前 83,924票 41.9%
原  輝雄 (43) 希望 南関東ブロック 新 29,852票 14.9%

5人がすべて当選している。3人は前職、2人は新人である。

➁ 2019神奈川県知事選
4月7日は、2019統一地方選挙の前半、道府県知事選が実施される。
東京新聞神奈川版は候補者をこう伝える。


◆黒岩祐治(くろいわ・ゆうじ)さん(64) 無現<2>=自民国民公明
 若葉台団地を未病モデルに
 横浜市旭区の横浜若葉台団地で第一声に臨んだ黒岩さんは「何の迷いもなくここを選んだ。若葉台団地の『奇跡』が、これからの日本を救うと確信しているから」と理由を切り出した。
 自らが掲げる「未病改善」の取り組みに触れ、「超高齢社会を乗り越えていく神奈川モデルが未病という言葉に象徴されている。今回の選挙を通じてその先に行きたい」と強調した。同団地の高齢化率は48%と全国平均を上回りながら、この十年で要介護認定率は12%に下がっていることを挙げ「住みよい、楽しい団地にしたいとやってきた結果だと聞いた。これこそが超高齢社会を生きていくモデルだ」と指摘した。
 さらに「笑いも重要なキーワード。笑いを増やし、元気に、健康になる。これが命輝く神奈川の具体的な姿。若葉台団地になろう、と訴え続けていく」と支持を求めた。 (北爪三記)
<略歴>知事(元)大学院教授・フジテレビキャスター▽早大


◆岸牧子(きし・まきこ)さん(62)無新=共産・緑の党
 健康と教育の格差是正訴え
 岸さんは横浜市西区の横浜駅西口で、大勢の支持者らを前に「貧困による格差を、健康と教育の格差にしてはいけない。誰一人取り残さない神奈川にリボーン(再生)する」と第一声を上げた。
 今の県政では、待機児童の解消や中学校給食の導入は進まず、給料も年金も少なく「どの人も苦しんでいる」と主張。
 黒岩知事が目玉に打ち出す「未病改善」は「医療を商品化し、健康を自己責任にしている」と問題視し、カジノ誘致に反対を明言しないことも批判した。
 その上で「カジノより給食」とのスローガンを掲げ、全公立中での給食の実施や十八歳までの医療費無料化、最低賃金の千五百円(時給)への引き上げ、脱原発の推進といった公約を紹介。「私たちは多数派だ。私たちが願う政治に変えられる」と呼び掛けた。
<略歴>市民団体代表・園芸業(元)中学校教諭▽武蔵野美大

 岸正子氏には、告示日に「緑の党」が推薦している。
私が問題として疑問に思うのは、自民党、公明党、国民民主党、の後に現知事黒岩候補を推薦して、推薦を候補から断られた立憲民主党の政治方針だ。黒岩氏に断られた立民党は、「誰も推薦しない」方針を表明した。
 一方、「緑の党」は告示日に岸正子候補推薦をご本人に伝えた。岸正子氏は「よこすか市民9条の会」共同代表や「よこすか・みうら市民連合」事務局を務めている。「緑の党」や「新社会党」など議席数は少ないけれども、政治運動や市民運動に日常的に国民サイドで誠意ある有意義な日常的実践を継続している。

 立憲民主党は、枝野幸男代表が「地方組織の拡充」を喫緊の課題としている。神奈川県知事選への対応にも、立民党の内部の事情があることが、横浜市市長選での自民党推薦候補支持や京都府知事選での自民党推薦候補を支持する側に回っているのか。

 今回、北海道知事選や沖縄衆院補選では、他の立憲野党と協同して野党共闘を構成するスタンスにある。立憲民主党が、万一、市民運動候補サイドに立てば、立民と友党の神奈川県地域政党の「神奈川ネットワーク」も反自民候補の側にたつだろう。
 立憲民主党よ、何処へいく?!


Ⅲ:小沢一郎氏と枝野幸男氏は政権交代をめざしているが器が違う

 前回新潟県知事選、沖縄県知事選。この選挙に森ゆうこ参議院議員、玉城デニー氏が果たした役割は大きい。この選挙において、小沢一郎氏は実に重要な役割を果たした。自民党幹事長を40歳代で務めた氏は、自民党を脱出して、政界の中枢で動き続けた。民主党を鳩山由紀夫氏と立ち上げた仕事は、小沢氏への私の視点を逆転させた。

 民主党は、小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏の退場によって変質していった。菅直人氏の代表就任で変わり、野田佳彦代表によって民主党は自壊していった。

 その後も小沢一郎氏は政界で毀誉褒貶に折れずに活躍してきた。氏の志は【政権交代】である。枝野幸男氏が「市民と野党の共闘」に建前で賛同し、実質は立憲民主党拡大に奔走するのはそれだけの志を確固としてもっているからだ。

  しかし、黒岩祐治元アナウンサーごときに翻弄されているようでは、安倍自民党の前で旧民主党の国会議員が次々に自民党入りしている現段階、枝野氏にはなんら心配していないが、立憲民主党の総体が枝野氏の志を理解し同行し続けるか、神奈川県知事選知事選のような定見を持たず右往左往して自民党グループに漁夫の利を与えた結果は、他の都道府県ではないことを願う。

 立憲民主党の政治家と支持者には期待している。枝野代表のご健闘を期待してやまない。

           -了―21019.4.10

(*写真:社民党大会時のものでネット検索で探し転載させていただいた)




Ⅳ:増補資料   統一地方選2019・黒岩知事3選 圧勝の先に(下)集大成へ高まる緊張(神奈川新聞 2019年04月10日 05:00 )



統一地方選2019  神奈川県知事選

選挙 神奈川新聞  2019年04月10日 05:00

https://www.kanaloco.jp/article/entry-160278.html


 元キャスター2人による与野党の一騎打ち-。

 現職圧勝の気配が既に広がっていた3月21日の知事選告示前、立憲民主党のごく少数の国会議員が黒岩祐治知事への「刺客」擁立を極秘裏に進めていた。

 キャッチフレーズは「かながわのサンダース」。米大統領選の民主党候補に名が挙がる左派系上院議員に重ね、市民派・リベラルの旗を打ち立てていく戦略を検討。一騎打ちになれば現職を脅かす候補になると確信していた。

 「三くだり半を突き付けられ、野党第1党として黙っていられない」

 立憲民主党の県連幹部には、「推薦」を依頼しておきながら自ら取り下げた知事に対する不信感が増大。背後に自民党の影も重ね、対抗心むきだしに戦いを挑む姿勢を強めていた。

 しかし、残された時間はあまりに短く、中央政界の事情もあり、「キャスター対決」は幻に終わった。

 カジノ反対、中学校給食の完全実施、原発ゼロ-。黒岩知事への推薦を巡り、立民が「政党として譲れなかった主張」(県連幹部)は、共産党推薦で出馬した岸牧子氏の看板政策とほぼ一致していた。だが、自主投票とした立民が岸陣営に加勢することはなかった。

 「もともと是々非々でやっており、『知事与党』という言葉は厳に戒めてきた」

 県議会・立民会派の団長はこう強調するが、2期8年の黒岩県政で知事提出議案に反対したケースは、前身の民主党会派時代からゼロ。知事選で与野党相乗りの支援体制から外れた今も「これからも野党ではない」との立場を崩さない。

 前回の得票数を上回る225万票を得た知事も、選挙結果に「(立民離脱の)影響はなかった」と説明。推薦の枠組みから外れたのは「党の中央」が原因とし、「県議団とは同じ方向性で非常にいい関係」との見方を示す。

 しかし、知事を推した自民、国民民主、公明党は「反立民」の姿勢を激化。県議からは「これまでも仲間ではなかったが、敵であることが決定的になった」との声が相次ぐ。

 県議会でも先鋭化する与野党対決は、政策の行方にどう作用するのか-。

 知事は「与党だと思っている会派からも厳しく追及され、私からは全部野党にも見える」と二元代表制の緊張感を自覚するが、今まで以上に厳しく向き合う姿勢は早くも見え隠れする。

 「笑うのはいいことだが、やかましいと感じる人もいる。政治家はそこも感じ取らなければいけない」

 笑いを振りまいた選挙活動に対する自民県連幹部の言葉に、ベテラン県議が続ける。「次の4年は、集大成だ。笑ってる場合ではない」

引用終了




最新の画像もっと見る