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かねてより、山形は庄内地方に行くなら是非、奥野シェフの店「アルケッチャーノ」に行くようにと何人ものグルメから言われていました。
世界の料理人1000人に選ばれている奥野シェフ、年齢と経験値から想像しても今食べるべきイタリアンではないかと思います。
確かに、山形県酒田にある記念館に行きたくて、それと合わせてお店に行くことができないかとチャンスを狙っているのですが、遠いのでなかなか実行できずに時間が過ぎていくのです。
ところが、偶然に酒田出身の人と東北の話をしていたところ、酒田にはすごいレストランがあるのですという話になった。
聞いてみると、まさしく「アルケッチャーノ」のお店のことでした。
そうなったら酒田に行きたい病が始まってしまうのが私なんです。
行きたい、でも行けない・・・。
悔しく思って居たところ、縁があるというのでしょうか、ふと目に止まった検索のページ。
「奥野シェフ監修のイタリアン、サーラ ビアンキ アル・ケッチャーノ」という一行が目に飛び込んできました。
何軒か監修をしたお店があるらしく、その一軒が三重県菰野町(みえけんこものちょう)の新しくできたリゾートの中で営業しているというのです。
まず、このお店に行って、いずれ山形県の本店に行く!
完璧な計画にニンマリと魔女の微笑みが漏れました。
カーナビに住所を入れて秋晴れの空の下、2時間弱のドライブを楽しみました。
11月中旬だったので、紅葉はまだこれからという状況でした。
現在のこの山並みは雪を被っています。
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お店があるのは、「アクアイグニス」という名前のリゾートで、湯の山温泉の近くあります。
厳選掛け流し温泉の「片岡温泉」、パン屋さん、和食店、いちご畑などが同じ施設にあってなかなか楽しい場所になっています。
私はパン屋さんやハーブ畑を楽しんだ後、いよいよアル・ケッチャーノに到着しました。
この日は13時半まで満席で、その後なら予約を受けられると貼り紙がありました。
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大きな4人席テーブルに案内されました。
広々していて安心感があります。
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まずは、喉が渇いていたので、オリジナルブレンドのお茶を注文しました。
ローズマリー風味のグリッシーニという細長いポッキーみたいなパンも届きました。
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さあ、心の準備をしてお料理を待ちます。
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アミューズは雲丹と茄子でした。
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拡大した写真で説明すると、雲丹の下にある紫色でくるりとした長方形のシートが茄子だそうです。
雲丹は三重県獲れのもの。
小粒が好きなのでニンマリしてしまいました。
このお店は三重の食材を使うことがテーマなので、各お皿の主食材は三重採れなんです。
青森の雲丹とは違う風味に、食べ歩きの楽しみを見出せます。
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サラダは、イシガキダイとマイクロハーブ、食べることのできるお花付きです。
オリーブオイルとミネラルたっぷりの塩がかかっていました。
塩気が少なくさっぱりとした味に、薄く切った鯛を楽しむことができた一品です。
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穴子のフリットとトマト、バルサミコ掛けです。
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断面からわかるように、かなり肉厚の食べ応えのある穴子でした。
穴子の力強さとそれを包む衣の軽さが対照的で興味深く、味わって食べました。
しかし・・・このフリットの衣、どうやって作っているのだろうか。
サービス担当に聞こうかなと思ったのだけど、ちょうどお客様を案内していて忙しそうだったし、私は形を崩さずに食べるのに忙しくて、まぁいいかって聞かず終い。
正解なのか失敗なのかよくわからないフリットの衣でした。
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パンはローズマリー風味のフォッカチオ。
オリーブオイルもローズマリー風味のものを選びました。
そうなんです、このお店では2種類のオリーブオイルから選ぶことができるのですよ。
ちなみにもう一つは、ガーリックチリだったかな。忘れました(笑)
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魚料理は、鰆(さわら)の蕪蒸し。
お皿に鰆がちょこんと乗っかってますが、大きなお皿なので実際には鰆もかなり大きい切り身でした。
トロ鰆と呼ばれる柔らかくて大きな鰆を見かけるので、それではないかと思います。
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蕪の摩り下ろしにとろみをつけたもので鰆を包み、旨味を閉じ込めて蒸しあげた一品です。
一口食べて見て、「低温調理ですか?」と質問した私に、「蒸しです」というお答えでした。
中まで非常に柔らかく仕上がっていて、口に入れるとほっこりとした身の感触、温かさがじんわりと染み入るような魅力的な美味しさです。
パリッとドライにしたカラシ菜がよいアクセントになっています。
実はこの日の料理で一番気に入った一皿でした。
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鰆の余韻に浸っていると、ラグーが運ばれてきました。
超アルデンテのスパゲッティにマッシュルームの真っ白な断面が嬉しくて、頑張って一気に食べました。
確か、ポークのラグーだった気がします。
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さあ、このナイフとフォークが出てきたら、私の気分が盛り上がります。
メインは、ホロホロ鳥、仔羊、松坂牛から仔羊を選びました。
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仔羊の白いんげん豆添えです。
写真では筋っぽく写っていますが、筋が全然気にならないほどの柔らかさ。
肉の周りの香ばしさ、特に脂肪のこんがりと焼けたところは特に美味しかったです。
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近寄って撮ってみました。
どうやったらこんな焼き具合ができるのでしょうか。
炭火で焼いたのかな。焼きのところの香ばしさがクセになるお味でした。
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デザートは「お芋掘り」でした。
ミニガーデンが運ばれて、小さなスコップでお芋を掘り起こします。
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土に見立てた、ナッツ入りのココアの中から収穫したスイートポテト。
ジェラードを添えていただきました。
どうやってお芋の表面を作ったのか、質問ぜめの私。
ウエイトレスさんが笑いながら、スイートポテトに紫芋粉をまぶしていることを教えてくれました。
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監修は奥野シェフながら、実際の料理長は鈴木シェフ。
実に美味しかった鰆の蕪蒸しは何日も経った今でもため息がでます。
あのような驚きと納得の出会いがあるなら、季節ごとに伺いたいお店です。
サーラ ビアンキ アル・ケッチャーノ HPはここです
住所:三重県三重郡菰野町菰野4800-1
営業時間:ランチ11:00~15:00 (LO 14:00) ディナー18:00~22:00 (LO 21:00)
予約番号:059-394-7734