よっくんは、12歳で亡くなりました。お母さんと一緒に、一生懸命病気と闘いました。
そこの病院には、”遊びのボランティア”活動がありました。病気は大人にとっても苦しいです。遊びたい子供にとっても苦しいです。土曜日に子供と一緒に遊ぶ活動です。
遊んでいる時は、辛いことも忘れます。
遊んでいる時は、子どもはいつも一緒にいるお母さんのことも忘れます。
お母さんと子どもと一緒に病気と闘っています。
お母さんがいなくなると子供はとても不安になります。
お母さんが用事で出かけようとすると、
「お母さんはいいな。好きな所に行けて」。
子どもが遊んでいる間に、お母さんは買い物やお風呂など、やっと一人になる時間です。
遊んでいる子どもの笑顔は輝いています。
ただ、違うことは、点滴のチューブが繋がっています。
子どもの中には、抗がん剤のため毛髪が抜けている子どももいます。
おもちゃで遊ぶ、工作する、ゲームするなどなどいろいろな遊びをボランティアが考えます。
流れる万華鏡を工作で作ったことがありました。工作キットの材料費はボランティアが助成金を申請して得ます。作った万華鏡をお母さんに見せる笑顔を見てお母さんも笑顔になります。苦しい、辛い病気や不安を一瞬忘れる時間でもありました。
私はこの遊びのボランティアを8年活動していました。よっくんとも何度も遊んだことがありました。よっくんとお母さんと私の3人でゲームをしたこともありました。よっくんとお母さんは大阪から来ていました。学生時代、大阪にいた私はお母さんと大阪の話をしました。
よっくんが亡くなったことは、知りませんでした。2005年12月29日に亡くなりました。遊びのボランティアメンバーには誰が亡くなったは病院側は教えません。転院したと思っていました。ボランティアのメンバーであり、その附属病院の医学生だった人が亡くなったことを教えてくれました。
”よっくんのポエム”&”よっくんといっしょの掲示板”を教えて貰い、投稿しました。それから、お母さんとメールのやり取りが続きました。
多くの方に、よっくんのポエムを知って欲しいと思います。多くの方に、よっくんが一生懸命病気と闘ったことを知って欲しいです。多くの方に、よっくんがやりたくてもできなかったことを知って欲しいです。
私は、よっくんを初め、やりたくてもできなかった多くの子どもたちがいたことを忘れることができません。
以下の本は病気になった子どもたちメッセージが掲載されています。亡くなった子どもも多いです。
「電池が切れるまで―子ども病院からのメッセージ」 すずらん の会編
「種をまく子供たち(小児ガンを体験した七人の物語)」 佐藤律子編
30年ほど前は小児がんのほとんど助かりませんでした。今は7~8割は助かるそうです。でも、2~3割はまだ助かりません。その後も病院通いが続くなど、病気が治っても引きこもってしまう子どもたちがいます。やりたいことができなくて亡くなった子どもは、周りの人のこころに種を蒔いたのだと信じています。その種は私のこころにもあります。その種を育て花を咲かせたいと思っています。
子どもの病気には心のケアが重要だと考え、子どもの心のケアに取り組んでいる小児科医の先生がいます。
ドキュメンタリー映画「風のかたち」 伊勢真一監督