幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「なぜあの人は平気であなたを傷つけるのか」春日武彦著

2017-02-01 01:26:08 | 本の紹介
職場では以下の3つによって仲間を平気で攻撃する
1)差別
2)似非理論
3)被害感情

職場における攻撃には残忍さが伴います。 
ユダヤ人の政治学者、ハンナ・アーレントはアイヒマン注)の裁判を傍聴してレポートを作成しました。「イェルサレムのアイヒマン-悪の陳腐さについての報告」

注)アイヒマンはナチスにおいてゲシュタポ宗派部ユダヤ人課課長だった人物で、数百万のユダヤ人を強制収容所へ移送するための指導的役割を担っていました。戦後アルゼンチンへ逃亡したもののイスラエルの特務機関に捕まって死刑に処せられました。

当初、彼女はアイヒマンがいわばサディスティックで殺人狂のサイコ野郎であろうと想像していました。そんな人間でなければ、ガス室の存在を承知で大量のユダヤ人を強制収容所へ送り込むような仕事に血道を上げたりしないだろうからと。
ところが実際に裁判で目にしたアイヒマンは想像と大きく異なっていました。小役人、あるいは決まりきった作業に携わる実直な事務員といった印象の凡庸な男でしかありませんでした。絶対悪を体現したかのような怪物的人物ではなく、命じられたことを忠実に実行するだけの、退屈で月並みで紋切り型のつまらぬ男、取るに足らぬ人物でしかありませんでした。

アーレントは考えます。アイヒマンはあまりにも自分というものがなかった。自分で考えたり、他人の立場に立って想像したり、自分なりに善悪を判断しようといった姿勢も意欲も能力もなかった。むしろそうした主体性のなさ、盲目的な忠実さとともに、それなりに遂行能力があったことが、かえってナチスにとって有用な人物として機能したのだろうと。そして彼女は「悪の凡庸さ」「悪の陳腐さ」を強調します。

「アイヒマン実験」 
 スタンレー・ミルグラムがイェール大学の講師だった時に行った心理実験。詳細は本「服従の心理」。
 質問者と回答者。回答者が間違うと、回答者に罰として電圧ショックを与える。電圧は15ボルトから450ボルトまで、回答者が間違えると電圧の高いボタンを与える。回答者は電圧に応じてショック状態を演じるように依頼しており、実際に電圧はかかっていない。電圧が上がるにつて、悲鳴に近い叫びが発せられ、最高レベルでは回答者は動かない。
質問者は指示者に従い電圧を与え続けた。
 実験の結果、40人の質問者の内、26人が最高レベルの450ボルトまで電撃を与えた。270ボルト以下で実験を中止した質問者はわずか8人にしかいなかった。

他者からの攻撃への対処方法
1)攻撃されるままでいる。無抵抗を貫き、耐える。
2)攻撃や不満は口にするが、基本的に抵抗しない、あるいは抵抗なんか出来ない。
3)攻撃をやめるように相手に警告する。やめなかったら逆襲する。
4)逆襲どころか、二度と攻撃を仕掛けてこないように相手を徹底的に痛みつける。
5)攻撃を無視する。それは無抵抗とは異なり、相手を軽蔑するといった精神的な反撃とペアになっている。
6)逃げる。相手との関りを避ける。
7)逃げる。ただし、誰かに言いつけたり仕返しを依頼したり罠を用意する。
8)突然パニックを起こしたり意識を錯乱して相手を困惑させ、攻撃そのものを無効にしてしまう。
9)恥も外聞もなく許しを請う。あるいは金品を提供して勘弁してもらう。
10)勝ち目がなくてもとにかく闘う。大概は無抵抗でいるより大きなダメージを受けるが。

こうして列挙していると気が滅入ってきます。
実際の対応
1)コミュニケーションを拒否する
2)つけこまれないように、孤立を避ける。
3)正気を保つ。相手はそういう人なんだと。
4)心の拠り所を持つ。何か心の支えになる場所、人、仕事を。
5)誰かに言葉に出して語る。

感想
 社員が上司からの指示で、違反/犯罪に手を貸す(共犯)のは、上司に逆らう、組織に逆らうことがなかなか難しいのでしょう。
 しかし、これからは犯罪に手を染めない、そのためにはしっかりとした考え方を持ち、真善美を理解する素養が必要になるのでしょう。