http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170202-00010001-bfj-soci BuzzFeed Japan 2/2(木)
厚生労働省で記者会見した女性側代理人の増田祟弁護士
東京都内の建築業者で働いていた女性(31歳)が妊娠中にした退職合意を無効とする判決を、東京地裁立川支部(荒木精一裁判官)が出した。判決(1月31日付)は、「退職合意が自由な意思に基づいたものだと認めるだけの、合理的な理由が客観的に存在すること」を、会社側が立証しなければならないという判断基準を示した。そして、本来であれば働けていたはずの期間の給与(月15万円)と慰謝料20万円、合わせて約250万円を支払うよう、建築業者側に命じた。
女性側代理人の増田崇弁護士は2月2日、厚生労働省で記者会見し、「多くの女性が妊娠をきっかけに辞めさせられている。これは、マタハラ問題の本丸だ。妊娠に伴う降格を無効とした最高裁判決の判断基準を退職合意にも適用した判決は、知る限り初めての画期的なものだ。波及効果は大きいだろう」と話した。【Buzzfeed Japan / 渡辺一樹】
事件の経緯
判決によると、女性は2014年10月、東京都多摩市の建築業者に雇われ、建築測量の仕事をしていた。妊娠がわかったのは2015年1月のことだった。
建築会社側は、妊娠中は建築現場での業務を続けるのは難しいと判断し、関連派遣業者への登録を提案した。女性は提案を受け、2015年2月6日に1日だけ、派遣先で就業した。
増田弁護士によると、女性は派遣先が遠方だったため、就業場所を変えて欲しいと連絡したところ、派遣会社から無視されたという。
その後、建築会社は「一身上の都合で6月11日に退職した」とする退職証明書と離職票を女性に送った。
これに対し女性側は「退職届も出しておらず、退職の合意はない」「これは実質的には、妊娠を理由とした解雇だ」と反論し、裁判になっていた。
判決のポイント
判決が示した判断基準は次のようなものだった。
「妊娠中の退職の合意があったか否かについては、特に当該労働者につき自由な意思に基づいてこれを合意したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか慎重に判断する必要がある」
この基準に基づき、判決は「(女性は)産後の復帰可能性のない退職であると実質的に理解する契機がなかった」「(女性には)会社に残るか、退職の上、派遣登録するかを検討するための情報がなかった」などと指摘。「自由な意思に基づいて退職を合意したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することについての、十分な主張立証が(会社側によって)尽くされているとは言えない」と判断した。
「女性が妊娠を理由として、仕事を失うケースがなくなってほしい」
BuzzFeed Newsはこの女性に話を聞いた。
「私は派遣会社に登録するという認識はなく、別の部署の事務方の仕事に行くのだと思っていました。妊娠中も同じ建築測量の仕事を続けたいと思っていましたが、当初は『別の部署の仕事を紹介する』『また戻れる』という説明を受けたので、元の仕事に戻れるのなら、一時的にそうなるのは仕方ないと考えました」
ところが、派遣会社から紹介された職場について、遠いので他の職場を紹介してほしい、というと突然連絡が取れなくなったという。
「元の会社に問い合わせても、らちがあきませんでした。そうこうしていると、あなたは退職したことになっていると告げられたのです。私は退職したいと希望を出したことはありませんし、会社側から退職についての説明もありませんでした。突然で、どうしてそんなことになったのかわかりませんでした」
就職がうまくいかず、20代で職を転々とした。働いていた会社が潰れたこともある。訪問介護の仕事をしたり、ネットカフェで夜も働いたり、いくつもの仕事を掛け持ちした。なかなか継続して仕事に就けず、日中時間を作って資格試験の勉強をしたりもした。
子どもの父親とは結婚していないシングルマザー。当時は子どもの父親と結婚できるかどうかわからず、子育てや経済的な支援が期待できないかもしれず、一人で働いて育てていかなければ、と不安を抱えていた。
「だから、今回は正社員に復職するためのパイプをつないでおきたかった。(建築会社で)それまで働いてきた時間を無駄にしたくなかった。小さな子どもをつれたシングルマザーが、いちから仕事を探すのは大変です。そのためには、会社の言うとおりにするしかないと感じていました」
「退職したと告げられ、派遣先も紹介してもらえなくなったので、いくつものアルバイトを掛け持ちして暮らしました。24時間ずっと働いているみたいな感じでした。出産の1週間前まで働いていました。なんでうまくいかないのかな、もし大卒だったら違ったのかなと思い大卒資格を取りましたが、状況は変わりませんでした」
今はひとまず地元に帰り、1歳4カ月の子どもを育てながら、看護関係の資格を取るために勉強している。元の職場の同僚の中には、心配して連絡をくれる人もいる。
今回、取材を受けた理由をこう話す。
「女性が妊娠を理由として仕事を失うケースがなくなってほしい。そういう世の中になってほしいと思ったからです。私の経験を、どうか役に立ててください」
感想;
会社側が妊娠した社員を本人が辞めたいと自主的に言わせるように、派遣先への異動、そして遠距離の勤務先とやっていることがミエミエのように思いました。
どうして会社名を公表しないのでしょうか?
会社名を公表することで、社会的な罰則を与えると、マタハラをすると会社の評判が下がるとなり、抑止力になると思うのですが。
厚生労働省で記者会見した女性側代理人の増田祟弁護士
東京都内の建築業者で働いていた女性(31歳)が妊娠中にした退職合意を無効とする判決を、東京地裁立川支部(荒木精一裁判官)が出した。判決(1月31日付)は、「退職合意が自由な意思に基づいたものだと認めるだけの、合理的な理由が客観的に存在すること」を、会社側が立証しなければならないという判断基準を示した。そして、本来であれば働けていたはずの期間の給与(月15万円)と慰謝料20万円、合わせて約250万円を支払うよう、建築業者側に命じた。
女性側代理人の増田崇弁護士は2月2日、厚生労働省で記者会見し、「多くの女性が妊娠をきっかけに辞めさせられている。これは、マタハラ問題の本丸だ。妊娠に伴う降格を無効とした最高裁判決の判断基準を退職合意にも適用した判決は、知る限り初めての画期的なものだ。波及効果は大きいだろう」と話した。【Buzzfeed Japan / 渡辺一樹】
事件の経緯
判決によると、女性は2014年10月、東京都多摩市の建築業者に雇われ、建築測量の仕事をしていた。妊娠がわかったのは2015年1月のことだった。
建築会社側は、妊娠中は建築現場での業務を続けるのは難しいと判断し、関連派遣業者への登録を提案した。女性は提案を受け、2015年2月6日に1日だけ、派遣先で就業した。
増田弁護士によると、女性は派遣先が遠方だったため、就業場所を変えて欲しいと連絡したところ、派遣会社から無視されたという。
その後、建築会社は「一身上の都合で6月11日に退職した」とする退職証明書と離職票を女性に送った。
これに対し女性側は「退職届も出しておらず、退職の合意はない」「これは実質的には、妊娠を理由とした解雇だ」と反論し、裁判になっていた。
判決のポイント
判決が示した判断基準は次のようなものだった。
「妊娠中の退職の合意があったか否かについては、特に当該労働者につき自由な意思に基づいてこれを合意したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか慎重に判断する必要がある」
この基準に基づき、判決は「(女性は)産後の復帰可能性のない退職であると実質的に理解する契機がなかった」「(女性には)会社に残るか、退職の上、派遣登録するかを検討するための情報がなかった」などと指摘。「自由な意思に基づいて退職を合意したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することについての、十分な主張立証が(会社側によって)尽くされているとは言えない」と判断した。
「女性が妊娠を理由として、仕事を失うケースがなくなってほしい」
BuzzFeed Newsはこの女性に話を聞いた。
「私は派遣会社に登録するという認識はなく、別の部署の事務方の仕事に行くのだと思っていました。妊娠中も同じ建築測量の仕事を続けたいと思っていましたが、当初は『別の部署の仕事を紹介する』『また戻れる』という説明を受けたので、元の仕事に戻れるのなら、一時的にそうなるのは仕方ないと考えました」
ところが、派遣会社から紹介された職場について、遠いので他の職場を紹介してほしい、というと突然連絡が取れなくなったという。
「元の会社に問い合わせても、らちがあきませんでした。そうこうしていると、あなたは退職したことになっていると告げられたのです。私は退職したいと希望を出したことはありませんし、会社側から退職についての説明もありませんでした。突然で、どうしてそんなことになったのかわかりませんでした」
就職がうまくいかず、20代で職を転々とした。働いていた会社が潰れたこともある。訪問介護の仕事をしたり、ネットカフェで夜も働いたり、いくつもの仕事を掛け持ちした。なかなか継続して仕事に就けず、日中時間を作って資格試験の勉強をしたりもした。
子どもの父親とは結婚していないシングルマザー。当時は子どもの父親と結婚できるかどうかわからず、子育てや経済的な支援が期待できないかもしれず、一人で働いて育てていかなければ、と不安を抱えていた。
「だから、今回は正社員に復職するためのパイプをつないでおきたかった。(建築会社で)それまで働いてきた時間を無駄にしたくなかった。小さな子どもをつれたシングルマザーが、いちから仕事を探すのは大変です。そのためには、会社の言うとおりにするしかないと感じていました」
「退職したと告げられ、派遣先も紹介してもらえなくなったので、いくつものアルバイトを掛け持ちして暮らしました。24時間ずっと働いているみたいな感じでした。出産の1週間前まで働いていました。なんでうまくいかないのかな、もし大卒だったら違ったのかなと思い大卒資格を取りましたが、状況は変わりませんでした」
今はひとまず地元に帰り、1歳4カ月の子どもを育てながら、看護関係の資格を取るために勉強している。元の職場の同僚の中には、心配して連絡をくれる人もいる。
今回、取材を受けた理由をこう話す。
「女性が妊娠を理由として仕事を失うケースがなくなってほしい。そういう世の中になってほしいと思ったからです。私の経験を、どうか役に立ててください」
感想;
会社側が妊娠した社員を本人が辞めたいと自主的に言わせるように、派遣先への異動、そして遠距離の勤務先とやっていることがミエミエのように思いました。
どうして会社名を公表しないのでしょうか?
会社名を公表することで、社会的な罰則を与えると、マタハラをすると会社の評判が下がるとなり、抑止力になると思うのですが。