可愛い子には旅をさせよ、とは言うものの、外遊中に公用車で旅をさせるのはいかがなものか。本誌(「週刊新潮」)が2月2日号で報じた岸田翔太郎・首相秘書官(32)の“観光”疑惑。官邸の不可解な言い訳で国会は紛糾、さらに新事実まであらわになった。
改めて、本誌の報道を振り返っておこう。 “旅”の主役は岸田文雄総理(65)の長男で、昨秋に政務担当の首相秘書官に就任した翔太郎氏。1月9日から15日まで総理と翔太郎氏が訪問した欧米5カ国で「観光問題」が起きた。
最初に訪問したのはフランス・パリ。翔太郎氏は初めての地だったからか、パリ市内の観光を要望。大使館が車を回して、名所を巡り、夕食はこれまた彼のご希望でビストロへ。官邸、大使館のスタッフらと舌鼓を打ったという。
3番目に訪れたイギリスでも、ロンドン市内を見たいと、公用車でビッグベンとバッキンガム宮殿をご見学。さらに、老舗高級百貨店で知られるハロッズで買い物を楽しんだ。 極め付きはカナダだ。首都オタワ市内のマーケットの酒屋でワイン、さらに日本へのお土産購入に勤しんだ。
「対外発信のため」と弁明するが…
どうだろう、名所旧跡を巡り、帰国後のお土産まで手配するこの「旅程」を見て「観光」でないと誰が言えるだろうか。 「この報道後、官邸は翔太郎さんに聞き取り調査を行っています」 とは、政治ジャーナリストの青山和弘氏。 「もう一人の政務秘書官である嶋田隆さんの聞き取りに翔太郎さんは“観光地に行ったのは対外発信に使う写真を撮るためだった”“買い物は事務所で必要なお土産だった”と説明しています。それを各大使館にも照会して、事実関係の確認を行いました」 結果、官邸から出てきた答えは、 「対外発信に使用する目的で街の風景やランドマーク等の外観の撮影をした」 「不適切な行動はなかった」(木原誠二官房副長官) というものだった。
ただし、政府の説明にはほころびが目立つ。
例えば、観光地を訪れ、撮ったとされる広報用の写真は、官邸と岸田事務所のHPに帰国後2週間が過ぎた時点でも掲載されていない。一体いつになったら、ビッグベンの写真は「発信」されるのか。
また、2月2日号で本誌が翔太郎氏を取材した際、お土産を買ったことについて問うと、氏はこう語っていた。 「あの、地元……、地元じゃねーや、外遊に行ったら東京にお土産を買うというルーティンがあってですね」
彼が言おうとした「地元」の後に続くのは「友人」だったのか、「支援者」だったのか。
北米最古の運河に…
ビッグベン
さらに、 「今回の外遊でまだ明らかにされていない“観光先”があるんです」 とささやくのは政府関係者。
「実は翔太郎さんはロンドンでビッグベンを訪れた際、車から降りてその周囲を散策されています」 イギリスの国会議事堂の時計塔として世界遺産にもなっているビッグベンは、夜になれば幻想的な雰囲気に包まれる。当地の雰囲気を歩いて味わうのも、外遊中の重要な仕事だったようだ。
しかもカナダでは、と関係者が続ける。 「オタワ市内でお土産を買った後のことです。翔太郎さんがリドー運河などを見るため、周辺を公用車で回っています」
リドー運河はオタワとキングストンを結ぶ、1832年に開通した北米最古の運河で、やはり世界遺産。この時期は運河が凍り、美しい雪景色を楽しめる。外務省は「観光動機による行動は一切ない」として、翔太郎氏の訪問先は公表していないが、この絶景も国民に「発信したい」がために訪れたと言い張るのか。
野党の追及に苦しい答弁
どうにも世界遺産がお好きな翔太郎氏にこれらの詳細を聞こうとするも、前回とは違い今回は梨の礫(つぶて)。代わって岸田事務所が書面で、 「ご質問の散策をした、運河を訪れたというのは事実に反します」 と回答。だが、1月30日の衆院予算委員会で岸田総理は野党に追及され、 「具体的な(訪問)場所については特定しないということですから、肯定も否定もしないということだと認識しています」 「緊張感を持ってこうした行動について考えていかなければならない」 「土産は内閣の閣僚、関係者に対し買っております」 と苦しい答弁に終始した。
翔太郎氏の胸中を先の青山氏はこう語る。 「本人は報道について“しょうがないですね”と周囲に話し、比較的淡々としています。総理の息子である以上、こういう批判を浴びるのは、仕方ないと感じているようです」
テレビの報道に「何なんだ」
一方、政治部デスクによると、怒りの矛先は別に向けられていて、 「週刊新潮の報道に乗って、自分を悪者扱いしているテレビなどの報道に憤り“何なんだ”“困る”と漏らしています。自分は遊んでいるわけではないと言いたいのでしょうが……」
そもそもここまで批判が広がる根本の原因は岸田総理が息子を秘書官にしたことだと青山氏。 「岸田政権では政務秘書官は翔太郎さんと嶋田さんの2人体制になっています。普通、政務秘書官は外遊先で多忙を極めますが、嶋田さんがいるため、翔太郎さんは重要な会談にも参加できず、どうしても時間を持て余してしまう。それでお土産を買えてしまうのでしょう。要は、総理の身辺ケア以外には物見遊山的な仕事しかないということです」 政治アナリストの伊藤惇夫氏が指摘する。 「彼は秘書として議員会館の事務所にいたとはいえ、本来の意味での政治経験はほぼゼロに近い。秘書官という重要なポストに政治経験ゼロの人間を起用するという岸田総理の感覚が理解できません」 外遊先の「観光」には血税が投入されている。親子ともども「旅の恥はかき捨て」では済まされまい。 「週刊新潮」2023年2月9日号 掲載
感想;
「週刊新潮の報道に乗って、自分を悪者扱いしているテレビなどの報道に憤り“何なんだ”“困る”と漏らしています。自分は遊んでいるわけではないと言いたいのでしょうが……」
悪者扱いと思うのは被害妄想でしょう。
国民が困っている時に、困っている国民から増税して得た税金を、観光に使われたら、誰でも憤りを感じます。
ことわざ
瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず、李下(りか)に冠(かんむり)を正(ただ)さず
このチャンスを生かして、行ったことがない名所旧跡を訪れたい気持ちはわかりますが、それは国民と同じように自分のお金でいくという謙虚さがなかったようです。
「えッ、税金は自分のお金?」
父親を見て育ったのかもしれません。
そんな岸田親子を支持している人は、税金使って観光しても良いと思われているのかもしれません。
観光だけでなく、いろいろなところで税金を私物化したり、海外に税金をばら撒いていて、国民の貧困と若者支援や教育は二の次三の次なのでしょう。
日本の将来が不安です。