新宿・歌舞伎町前に集う「トー横キッズ」と呼ばれる少年・少女たちの間で、危険な“遊び”が流行している。咳止め薬を大量摂取する「オーバードーズ」だ。SNS上には、〈今日は30錠〉〈100錠飲んで宇宙に行った〉などの体験を綴る書き込みが溢れている。
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市販薬「メジコン」が流行
「ンー、ウツカロス…、オツカレスマォ、オツカレサマォ…」
11秒の動画には映るのは、誰かに介抱されながら意味不明なことをつぶやくあどけない黒髪の少女。虚ろな目で一生懸命なにかを喋っているのだが、呂律が回っておらずほとんど聞き取れない。
16秒の動画も衝撃的である。「ウッ、ウッ、ウッ……」。生足をさらして路上に倒れこむ短パン姿の少女は、両手の拳を握りしめ、引きつけを起こしている。周囲の人間が「大丈夫?」とタオルをかけたり水を飲ませようと介抱しているが、慌てている様子はない。
11秒の動画には映るのは、誰かに介抱されながら意味不明なことをつぶやくあどけない黒髪の少女。虚ろな目で一生懸命なにかを喋っているのだが、呂律が回っておらずほとんど聞き取れない。
16秒の動画も衝撃的である。「ウッ、ウッ、ウッ……」。生足をさらして路上に倒れこむ短パン姿の少女は、両手の拳を握りしめ、引きつけを起こしている。周囲の人間が「大丈夫?」とタオルをかけたり水を飲ませようと介抱しているが、慌てている様子はない。
これらの動画は、トー横キッズのオーバードーズ動画としてSNS上で拡散されているものである。いま歌舞伎町ではオーバードーズで倒れこむ少年・少女の姿が、日常の光景になっているというのだ。
「どういう理由かわからないのですが、彼らは塩野義製薬から出ている『メジコン』という錠剤の咳止め薬が一番効くと話しています。昨日会った子も、一度に60~80錠を飲むと話していました。ふわふわした気持ちになって、記憶がなくなるというのです。他の風邪薬などと“ブレンド”して飲む子たちもいます」
子供たちに混じって大人たちも
こう話すのは、トー横キッズたちと交流を続けるYouTuberのヒロ氏である。確かにヒロ氏の言う通り、Twitterでメジコンと検索してみるとOD(オーバードーズ)などの言葉とともに、〈メジコンはやばすぎ まともに歩けない 量へらさな〉〈一回メジコンを経験したら他に戻れない〉などの書き込みが大量に出てくる。
Twitter上には、トー横前の路上に、オーバードーズに利用した跡のなのだろう、紫色のメジコンの空き箱が10箱くらい散乱している写真も見受けられた。
「最初は20~30錠くらいだそうですが、“もっと飛びたい”と、量を増やしていくようです。100錠くらい一気飲みして、病院に担ぎ込まれるキッズもいます」(ヒロ氏)
Twitter上には、トー横前の路上に、オーバードーズに利用した跡のなのだろう、紫色のメジコンの空き箱が10箱くらい散乱している写真も見受けられた。
「最初は20~30錠くらいだそうですが、“もっと飛びたい”と、量を増やしていくようです。100錠くらい一気飲みして、病院に担ぎ込まれるキッズもいます」(ヒロ氏)
ヒロ氏が見せてくれた動画には、成人男子がオーバードーズしている様子を映したものもあった。警察官二人が見守るなか、路上に倒れこんだ金髪の男性が「おしっこさせてよー」と苦しげに話している。
ヒロ氏によれば、この男性は、コンビニエンスストアの店員に因縁をつけ、自転車に乗ったまま店内に侵入するなどして業務を妨害した容疑で2月9日に逮捕された人物だという。男はトー横キッズの支援団体『歌舞伎町卍会』の副総長を名乗っていた。
歯止めになっていたハウル
卍会を巡っては、昨年、総長だったハウルこと小川雅朝・元被告が16歳の家出少女に淫らなことをしたとして逮捕されたのち、収容されていた東京拘置所で突然死したことがニュースとなった。だが、ヒロ氏は「ハウルがいた頃はこんな光景は見受けられなかった」と振り返る。
「確かにハウルは、自分の欲望を満たす目的で少女たちに近づいていた、とんでもない男だった。でも、『クスリは絶対ダメだ』とキッズたちに厳しく言い続けていたんです。オーバードーズにもうるさくて、やっている子を見つけると飛んでいって注意していた。トー横でオーバードーズが流行り出した背景には、ハウルの死も関係していると思います」
「確かにハウルは、自分の欲望を満たす目的で少女たちに近づいていた、とんでもない男だった。でも、『クスリは絶対ダメだ』とキッズたちに厳しく言い続けていたんです。オーバードーズにもうるさくて、やっている子を見つけると飛んでいって注意していた。トー横でオーバードーズが流行り出した背景には、ハウルの死も関係していると思います」
オーバードーズに詳しい精神科医の片田珠美氏はこう語る。
「昔から液体シロップ状の咳止め薬はオーバードーズの対象になってきました。この薬に含まれているリン酸コデインを大量に服用すると、頭がふわっとして酩酊感や多幸感が得られるということで、嫌なことを忘れたいと願う人たちが濫用してきたのです。メジコンには麻薬性物質は含まれておりませんが、中枢性の鎮咳薬であることには変わりがないので大量摂取すると酩酊感や多幸感を得られます。いま精神科医の間で問題となっているのは市販薬や処方薬などの合法ドラッグの濫用です。覚せい剤などの違法ドラッグと違って入手が容易なため、咳止め薬だけでなく、睡眠導入剤や抗不安剤、鎮痛剤などをオーバードーズするケースも増えています」
苦しみや失望から逃れたい
恐ろしいのは、繰り返し服用することで依存を深めていくことだという。
「依存には『耐性』と『渇望』がつきものです。最初は1箱で気持ちよくなれても、体に耐性、つまり一種の慣れができてきて、2箱、3箱と量が増えていく。やがて渇望症状が出て、毎日欲しくて仕方なくなる。一箱1500円だとしても、毎日なら1カ月で4万5000円もの出費になります。お金に余裕のない若者たちが渇望しだすと、犯罪に手を染めたり、売春に走ったりするケースもある。脳や身体への悪影響も甚大で、大量に摂取すると生命に危険が及ぶ恐れもあります」(同)
「依存には『耐性』と『渇望』がつきものです。最初は1箱で気持ちよくなれても、体に耐性、つまり一種の慣れができてきて、2箱、3箱と量が増えていく。やがて渇望症状が出て、毎日欲しくて仕方なくなる。一箱1500円だとしても、毎日なら1カ月で4万5000円もの出費になります。お金に余裕のない若者たちが渇望しだすと、犯罪に手を染めたり、売春に走ったりするケースもある。脳や身体への悪影響も甚大で、大量に摂取すると生命に危険が及ぶ恐れもあります」(同)
なぜ、彼らは自分を傷つけてまでもオーバードーズに走るのだろうか。
「つらいんでしょう。トー横に集う子供たちのなかには、家庭に居場所がない子が多いと聞きます。街に出てきてからも、売春をさせられたりして大人たちに搾取されてしまう。そうした苦しみや失望から逃れたい、惨めさを忘れたいと、一瞬の気晴らしを求めてオーバードーズに走るのだと思われます」
トー横に舞い散る無数の空き箱は、少年少女たちから発せられているSOSなのかもしれない。
デイリー新潮編集部
感想;
若者が苦しんでいます。
貧困だけでなく、メンタルにも苦しんでいます。
若者が苦しい国に未来は明るくありません。
防衛費に1兆円税金つぎ込んでも、守るべき国民が疲弊してしまっていたら意味がありません。
先ずは若者が頑張れば、それだけの未来が約束されている日本であって欲しいです。
苦しんでいる若者は、政治へのNoも言えないほど、苦しんでいるのかもしれません。
若い世代の死因のトップは自殺です。
Japan is No1をダメにした政治家は誰なのでしょう?
そんな政治家を選んだ国民がバカだと思うのですが。