・厚生労働省が2015年に行った『国民生活基礎調査』では、日本の相対的貧困率は15.7%。
・目次
1)「見えざる貧困」ワーキングプア 最終学歴 年収
・「トランクルーム難民」 短期大学 100万円
・「超激安ネットカフェ」 高卒 110万円
・「ゴミ屋敷に暮らす生活保護受給者」 大学 150万円(生活保護)
・「軽自動車に住む男」 中学校 55万円
2)「貧困層に落ちる」元サラリーマン
・「転職漂流者」 短期大学 150万円(生活保護)
・「中年マクドナルド難民」 専門学校 110万円
・「社内漂流者」 大学 450万円
・外国労働者の受け入れでクビ」 大学 100万円
3)不法行為に手を染める「暴走中年」
・「暴走あおり運転者」 高卒 210万円
・「空き家、不法侵入生活」 工業高校 90万円
・「引きこもり中年」 大学 ゼロ
・「新型コロナで失職した男」 専門学校 300万円
4)搾取され続ける「貧困女性たちの絶望」
・「元専業主婦の悲哀」 短期大学 120万円
・「稼げない五十路風俗業」 中学 110万円
・「婚活難民女子」 大学 400万円
・「貧困娘の一日」 高校中退 72万円
・生活保護受給の相談に市役所を訪れたこともあった。しかし職員は「親族に援助してもらってください」の一点張りで、結局、受給に至らなかった。
・貧困に陥っている人にとって支援を受けることは、以外にもハードルが高い。
・厚生労働省の調査によると、2015年の生活保護の不正受給率は0.45%だった。
・日本にはまだ家族同士で助け合いができない人たちを救う仕組みは事実上、存在しない。
・「マクドナルドはWifiも使えるし、充電もできる。日中はここに座って、携帯電話で日雇いバイトを検索します。
・社員の不満度が高い職場には必ずと言っていいほどに、「大人のいじめ」が存在した。
・40~64歳の引きこもり数は全国で推計61万3千にんになる(内閣府の調査)。
・「どうにか一命をとりとめたけれど、医者がいうには『貧困病』とも呼ばれる栄養失調『ウェルニッケ症候群』だって」。栄養のあるものを食べるには、お金がいる。
・2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」において、日本は前年の110位からさらに順位が下がり、153か国中121位という悲惨な結果に終わった。
・「漂流する16人の叫び」を紹介した。その全員が今、深刻な貧困に陥っている。彼ら、彼女らが転落した理由は、果たして自己責任なのだろうか。
・私の父と母もまた、生まれ育った家庭が貧しかった。それぞれ中卒と高卒で働き始めて20代で結婚し、ほどなくして1990年に男児を、1997年に女児の私が鵜案れ、家を購入した。
すべてを崩壊させる出来事が起きる。1995年1月17日に発生した、阪神・淡路大震災だ。家は全壊に近い半壊で、このまま住み続けることは不可能だった。
新しい住まいと家具家電一式、生活用品をすべて新しく買い揃えた結果、一家の貯金は底をついた。
退職と転職をくり返す父親の無職の期間がどんどん長くなり、起きている間中朝から晩までアルコール漬けで家庭に一切関わろうとしなかったし、母親はそんな夫の収入分をカバーできるほど体が強いわけでもなく、特別秀でた職能があるわけでもない。
毎日のように「死にたい」と母は泣きながら私に訴えたりするようになった。
当時中学生だった。私立高校に進学する選択肢などなかったため、学費の安い効率高校に合格するべく、強迫観念に取りつかれたように勉強に励んだ。無事に受験を追えて進んだのは県立の進学校だっただ、私には大学に進学する気はまったくなかった。
高校3年の夏になって、進路指導の面談で、「300人以上いる同級生のうえで、就職を希望しているのはあなだたけだ」と知らされたのだ。
私は結局、母と決裂しながらも奨学金を上限まで借りて大学進学することに決めた。入学後はアルバイトを3つか4つ掛け持ちして、早朝のアルバイトが終わったあと学校で授業を受け、夕方また別のアルバイトへ行って終電で家に帰り、土日も休まずに働いた。なんとか4年で大学を卒業することができた。
大学を卒業し、数百万の借金を抱えた私が行き着いた「安全な場所」は、会社が住宅として所有していた防音の概念が存在しない1Kの安っぽいアパートだった。
母は私が東京の会社に就職することを強く反対した。父が家庭にまった不干渉で、兄は家庭内暴力で手がつけられない、そんな環境でいつしか母は私に病的に依存するようになり、私が支配下からいなくなってコントロールできなくなるのを極度に恐れていたのだ。
半ば無理矢理家を飛び出したものの、母親に対して罪悪感を覚えていた私は生活が厳しいならがも、せめてもの罪滅ぼしで毎月仕送りすることにした。当時、私の手取り給料は会社から自己負担分の家賃を惹かれて11万円ほど。その中から生活費、通院費や奨学金の返済などをやりくりすると手元にはほとんど残らなかったが、対価として安全な場所を手に入れられたと思えば、さして気になることはなかった。
唯一の問題点は、就職した会社がブラック企業だったことだ。おまけに激務ときているから、毎年15人ほど採用される新入社員が、1年経つころには2人か3人残っていれば「いいほう」だという。
当然のように残業代は出ないにもかかわらず、毎日夜遅くまで残らなければ仕事が割らないほど人手不足で、たとえ仕事をすべて終わらせていようと、提示で帰ることは「悪」だとされていた。休日出勤が義務付けられているのに休日手当はつかないし、理由はわからないが、有給を取れば一日あたり5000円を給料から差し引かれた。
同じころ、会長の息子である役員男性からの性的な誘いを断ったことで不興を買った私は、パワハラのターゲットにされてしまった。
仕事を辞めれば、会社名義で借りているアパートを追い出されてしまう。月々の余剰はほとんど仕送りに回しているため、貯金もわずかしかない。
当時の私には「会社を辞める」といった選択肢は存在しなかった。
ある朝、激しい吐き気とめまいに襲われた。この日から急激に体調を崩した私は、とても激務をこなせる体ではなくなっってしまった。とうとう、会社を辞める決断をせざるを得なくなったのだ。
・努力すれば貧乏にならない」論者によってその責任の所在が「貧困に陥っている当事者個人にある」と片付けられてしまう状況は看過してはならない。貧困問題や格差問題について国民が「自己責任論」を唱えている状況は、国にとって最も都合のいいことだ。
不平等や格差の仕組みに気づかず、政府に対して不平不満を叫ぶわけでもなく、貧困の当事者から小さな声が上がったとしても、ただただピラミッドのの下層の国民同士が買ってに責任を押し付け合って声をかき消してくれる。
これ以上に都合がよくて、従順で、飼いならしやすい国民あるあろうか。
・貧困問題について自己責任論を唱えるのは、いつも決まって貧困ではない、無知な人たちだ。ほんの少しでも知識があれば、少しでも興味や関心があれば、絶対に「貧困は自己責任だ」なんて結論になるはずはない。
「生まれついた家庭が貧しかったこと」は、本当に自己責任だろうか。固定化された格差から這い上がれないのは、努力が足りないせいだろうか。あなたが今、生活に困窮していないのは、本当にすべてが、「あなた個人」の努力の賜物だろうか。
それでもあなたはまだ、誰かを「自己責任論」で殺そうと思うのだろうか。
感想;
貧困の連鎖が言われています。
貧困だから、子どもを大学に行かせることができない。
どうしても、教育を十分受けていないと仕事の選択肢も狭くなり、低い収入になっていく。
米国では、黒人やヒスパニック系の貧困を減らすために、州立大学などでは、人種の比率に合った大学の合格者を決めているところもあります。
生活保護が最後のセキュリティと菅首相は発言されましたが、それが最後のセキュリティになっていないのが今の現実です。
生活保護の人は年収150万円に対し、それよりも低い賃金で生活をしている人が多くいます。
今回紹介された人もほとんどがそうです。
個人で頑張れる人も確かにいます。
しかし、それは並大抵の努力ではないのです。
東大の学生の親の収入が高いことは知られています。
東大生の親の6割以上は年収950万円以上
筆者は奨学金とたくさんのバイト掛け持ちで、大学卒と数百万円の借金を抱えました。
奨学金は低利子のローンなのです。
若者の正規雇用が減っていること、ブラック企業が増えていることなども、貧困を増やしているのでしょう。
現場労働に派遣もOKになったことで、ますます正規雇用の場が失われ、不安定な環境に追い込まれている人が増えています。
まさに政治が貧困層を減らす方向ではなく、貧困層を増やす方向に舵を切っています。
奨学金と言われていながら、低利子ローンです。
国は教育にお金をかけて来ていません。
教育のお金をかけないことは将来の種蒔きもしていないことになります。
貧困は著者が訴えておられるように、個人の努力の問題ではなく、国の考え方/政策なのです。
貧困を助長している国の政策を変えていく必要があるのではないでしょうか。
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