平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「関心領域」~アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族がいた

2025年03月14日 | 洋画
 アウシュビッツ強制収容所の隣りに住む家族の物語である。
 家族は、アウシュビッツの所長ルドルフ・ヘス一家。
 ※ナチス副総裁ルドルフ・ヘスとは別の人物。

 彼らは塀の向こうのアウシュビッツでおこなわれていることに関心がない。
 塀の向こうから聞えて来る叫び声や銃声はただの音でしかない。
 塀の向こうから立ち上る煙は光景のひとつでしかない。

 彼らが関心があるのは「庭造り」や「誕生日」や「水遊び」のことだ。
 夫人のヘートヴィヒはアウシュビッツの女性収容者が来ていた服を自分のものにして
 何の心の痛みもない。
 歯磨き粉の中にダイヤモンドを隠しているのを発見して、
「ユダヤの女は頭がいいからねえ」
 などと話している。
 これらのことが当たり前になって、彼らの心は完全に麻痺しているのだ。
 無関心であれば、どんな悲惨なことがおこなわれていても平気でいられるのだ。

 そんな中、当たり前になっていない人もいる。
 遊びに来たヘートヴィヒ夫人の母だ。
 彼女は当初「きれいな部屋ね」「素敵な庭ね」と心地よく過ごすが、
 次第に塀の向こうから聞えて来る叫び声や銃声が気になって、自分の家に戻る。

 塀の向こう側に関心を抱く人もいる。
 ポーランド人の使用人マルタだ。
 塀の向こうに関心を持ったマルタは収容されている人たちのために
 リンゴやジャガイモを運び入れる。

 後半ルドルフ・ヘスが胃の病気になるのは何を意味するのだろう?
 アウシュビッツの悲惨が日常の業務・仕事になっているヘスだが、
 やはり少しずつ彼の心を蝕んでいたのか?
 劇中たびたび流れる不気味な音楽。
 これはおそらくガス室で死んでいった収容者たちの心の叫び。
 ヘスの中ではこの不気味な音楽が常に流れていたに違いない。
 それがヘスの心を蝕んだ。

 ラスト、博物館となった現在のアウシュビッツを職員たちが掃除するシーンを挿入される。
 これは何を意味するのだろう?
 淡々と掃除をする職員たちはおそらく何も感じていない。
 ヘスと同じように日常業務・仕事になっている。
 彼らはある意味、ヘス一家と同じなのだ。

 このことは見ている観客にも突きつけられる。
 われわれ観客はこの作品を見て何かを感じたとしても日常生活の中ですぐに忘れてしまう。
 アウシュビッツは「関心領域」ではなくなってしまう。
 まあ、それは、ある程度、仕方のないことでもあるのだが……。

 関心と無関心。
 慣れと麻痺。
 関心領域を拡げていこう。
 世の中には悲惨が山のようにある。
 この作品はこんなことを考えさせてくれる作品である。


※追記
 この作品、2024年のアカデミー賞 国債長編映画賞、カンヌ映画祭グランプリなどを受賞した。

※関連動画
「関心領域」特別映像(YouTube)
 あなたと彼らの違いは? と問いかけている。

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「ヒロインたるもの」~可愛くてごめん、ちゅーたんが愛おしくてしょうがない!

2025年03月12日 | アイドル
 HoneyWorksさんの楽曲「可愛くてごめん」を追いかけていたらこの作品に行き着いた。
 この曲に登場する、ちゅーたんとは何者ぞ?

 さてアニメ「ヒロインたるもの」
 自称・モブキャラの涼海ひより(CV水瀬いのり)がひょんなことから
 アイドルユニット『LIP×LIP』の見習いマネージャーをすることになって奮闘する物語だ。

 陸上のハードルをやるために東京の学校にやって来たひよりはこんな女の子だ。
・ともかく明るい。
・平気で素を見せられる。
・中性的、女の子として見られない。
・他人を疑わない。
・いつも一生懸命。
・いつも走りまわっている。
・見ていると楽しくなる。笑ってしまう。
・共感力があり、いっしょに怒ってくれる。ライブを見て、感動しちゃった! と言える。
・ときどき、はっ、とする気づきを与えてくれる。
・見習いマネージャーとして何ができるんだろう? と考える。
・陸上もマネージャー見習いも、『LIP×LIP』の応援も全部やる。
・体育祭実行委員会をやり、競技の全種目に出る。

 こんなひよりだから、『LIP×LIP』のメンバー、染谷勇次郎(CV内山昂輝)と柴崎 愛蔵(島﨑信長)の気難しくて頑なな心が少しずつ溶けていく。
 自称・モブキャラが王子さまに囲まれるヒロインになる。

 一方、ちゅーたん。
 彼女はひよりとは正反対の女の子だ。
・『LIP×LIP』の熱狂的なファン。愛蔵推し。
・推し活のためにメイド喫茶でバイトをしてお金を稼いでいる。
・「ちゅーたん」というペンネームで『LIP×LIP』に直筆でぎっしりとファンレターを書いている。
・『LIP×LIP』の運営スタッフにも感謝の手紙を書いている。
・『LIP×LIP』が日本一のアイドルになるまでの軌跡のノートを作っている。
・こんな熱烈なファンなのに正体を隠し、メンバーから距離を置いている。
・実は『LIP×LIP』のメンバーと同級生。
 だが他のクラスメイトたちのように近寄らず、距離を置いている。
 つまりファンとして分をわきまえている。
・普段はしっかり者で真面目。
・どちらかというと陰キャで、怒りや鬱屈を貯め込むタイプ。

 こんなちゅーたんだから、ひよりが愛蔵たちと仲良くしているのが気に食わない。
 ちなみにひよりも『LIP×LIP』のメンバーと同級。
 だから、ひよりに対する怒りが作品の後半爆発する。
 ……………………………………

 面白い物語の構造とキャラクター設定だ。
 前半はひより(単純)と『LIP×LIP』のメンバー(複雑)との対立。
 後半はひより(単純)とちゅーたん(複雑)の対立。

 前半、ちゅーたんは「熱狂的なファンレターを書くファン」くらいの描写しかないのだが、
 実は怒りをメチャクチャためていたんですね。
 そんなちゅーたんを想像するとゾクゾクする。
 そして怒りが爆発した時のちゅーたんのせりふは一見の価値あり!
 ネタバレになるので一部しか紹介しませんが、こんな感じ。

「何でウチのこと嫌いなん?」
 と尋ねるひよりに対して、ちゅーたんは──
「おまえがクソモブのくせに、『LIP×LIP』と距離近いからだろーがー!!
 あたしが分をわきまえて、そっとふたりを見守ってるのに、
 貢ぐためにキャラ作ってメイドカフェでバイトしてるのに、おまえ、出過ぎなんだよ!!」

 こういうちゅーたん、個人的にメチャクチャ好きです!
 何だかすごく愛おしく思えて来る。

 ちゅーたんのこの後のせりふと正体についてはネタバレになるので書きませんが、
 正体はすぐにわかるけど……。
 アニメ「ヒロインたるもの」、推し活をやっているすべての方に見てほしい作品です。


※関連動画
「可愛くてごめん (feat. かぴ)」HoneyWorks(YouTube)
 ※2番からのストリングスの音が跳ねまくっている!

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「べらぼう」 第10回「『青楼美人』の見る夢は」~瀬川、圧巻の花魁道中! ふたりの夢がかなった!

2025年03月10日 | 大河ドラマ・時代劇
 瀬川(小芝風花)、圧巻の花魁道中である。
「瀬川っ!」周囲から声がかかり、松の井(久保田紗友)、常磐木(椛島光)らが付き従う。

 道中をしながら瀬川は何を考えていたのか?

 蔦重(横浜流星)はふたりの夢としてこんなことを語った。
・吉原を楽しいことばかりの場所にしたい。
・女郎がいっぱい、いい思い出を持って出て行けるようにしたい。
・いい身請けをして年季明けまで働かなくていいようにしたい。
・吉原に来れば人生が変わる、という場所にしたい。

 実はこの蔦重の夢、瀬川は叶えていたんですね。
 今の瀬川の心の中にあるのは、楽しくていい思い出。
 蔦重からは本をもらった。
 本を読んでいる姿が瀬川だと言ってくれて絵まで残してくれた。
 いい身請けをして年季明けまで働かなくて済んだ。
 吉原で人生が変わった。

 この夢の叶った自分の姿を吉原の人間に見せることで、
 お手本になり、夢を与えようとした。

 大門の前では蔦重が待っていた。
 微笑む瀬川。すれ違う瀬川。
 この時、瀬川は何を思ったのか? 蔦重に何を語りかけたのか?
「重三、あとは頼んだよ」
 だと思う。

 ドラマを盛り込んだ花魁道中、見事でしたね。
『べらぼう』を見て来てよかったと思える回だった。
 ………………………………………………

 蔦重と瀬川のすべての会話が心を通じ合っていることを物語っている。

「あんたが物をくれる時はいつも本だねえ」
「わっちも載せてくれたのかい?」
「わっちはいつも本を読んでたんだねえ」
「それが一番おまえらしいと思ってよ」
「楽しかったことばかり思い出しちまうよ」

「馬鹿みてえな昼の夢みてえな話だ。
 けど、おまえも同じだったんじゃねえの? これがふたりの夢じゃねえの?」
「俺はこの夢から醒めるつもりは毛筋ほどもねえよ。
 俺とおまえを繋ぐものはこれしかねえからよ。俺はずっとこの夢を見続けるよ」
「べらぼうだねえ」

 すごい会話だ。
 何て素敵なふたりだ。
 最後の「べらぼうだねえ」が素晴しい。
 …………………………………………………

 江戸城パートでは田安賢丸(寺田心)が田安の種まき。
 妹を将軍・家治(眞島秀和)の娘にして、家治の嫡男・家基(奥智哉)と娶せることに成功した。
 反・田沼意次(渡辺謙)の布石が着々と。

 蔦重が『青楼美人合姿鏡』を売る戦略は──
・将軍の献上本~これで箔がつく。
・瀬川が載っている唯一の本~稀少本・イベントで本を売るという手法。
 鶴屋喜右衛門(風間俊介)がラストで「これは売れない」と言ったのはどうしてだろう?
 女郎の日常を描いた絵ではイマイチだからだろうか?

 次郎兵衛さん(中村蒼)がついに働いた!笑
「希なる? どこが希なる?」
 と叫んで『青楼美人合姿鏡』を売ることに貢献!
 次郎兵衛さん、いつも遊んでばかりだから、さすが江戸人って思ってたんだけど、
 ついに働いた!

 平沢常富(尾美としのり)がついに本格的に登場!笑
 ネットでは、平沢常富が通行人みたいな感じでしか登場しないのに
 OPのテロップでは『平沢常富 尾美としのり』が一枚看板で出ていることが話題に!
 平沢常富がどこに出ているかを探すマニアもいた。

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最近「僕青」が楽しい!~八木仁愛さんがメチャクチャ明るくなった!

2025年03月09日 | アイドル
 最近「僕青」が面白い。
 まあ、メンバーのキャラクターや個性を把握して来たせいもあるんだけど、
 最新曲の「好きすぎてUp and down」がいい♪

 エイベックスなんだし、始めからこのダンス曲路線でいけばよかったのに。
 まあ、メンバーがこの振り付けについていけるようになったのが大きいと思うけど。
 このままだと、まずコンセプトが似ている日向坂が食われそう。
 1期生、2期生の卒業が相次いで卒業しているし。

 八木仁愛さんがメチャクチャ明るくなった!
 慣れたというか、最近フッ切れた感じ。
 冠番組では大コケしたり、ポンコツMCをしたり、イキイキとしている。
 それでいてダンスがすごい。
 このギャップが魅力的。
 ………………………………………………

 最近、話題になっている動画がある。
 Da-iCE の「I wonder」(ドラマ「くるり」の主題歌)をAKBの山口結愛さん、櫻坂の松田里奈さん、僕青の八木仁愛さんが踊っているのを比べている動画だ。

 仁愛ちゃん、スペースを広く大きく使いダイナミックに踊っている。
 それでいて止めるべき所はしっかり止め、溜めるべき所はしっかり溜めている。
 このメリハリ。
 ラストで手を振ってくれる所にヤラれた!

 この中では、まつり(松田里奈)のダンスが一番ゆるいのだが、
 表情は終始笑顔だし、抜いて踊っているから、これで優劣はつけられない。

「僕青」これからが楽しみだ!


※関連動画
 AKB48 山口結愛 僕青 八木仁愛 櫻坂46 I wonder踊ってみた(YouTube)

 僕が見たかった青空 / 「好きすぎてUp and down」LIVE ver.(YouTube)

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「東京ラブストーリー」の名言を集めてみた!

2025年03月07日 | 名セリフ・名言集
『東京ラブストーリー』(1991)をひさしぶりに見た。
 改めて見るとリカ(鈴木保奈美)は素敵な子だなぁ。愛情過多な所はあるけれど。
 今回は名セリフを使って、リカと完治(織田裕二)の恋の軌跡を追ってみよう。

「何があるか分からないから元気出るんじゃない」
 完治が空港で初めてリカに会った時に言われたせりふ。
 愛媛から東京に出て来て不安だった完治にとっては救われたせりふだっただろう。

「思ったことを口にしないと窒息しちゃうんだよ」
 リカの性格を一番的確に表わしているせりふ。
 だからリカはウソやゴマかしが嫌い。相手にもストレートな姿勢や言葉を求める。

 リカのマシンガントークにつき合って丁々発止のやりとりをしているうちに
 完治はリカと意気投合。
 ずっと想っていたさとみ(有森也実)が三上(江口洋介)とつき合い始めたこともあって
 完治はリカとつき合い始める。
 そこではこんなバカップルぶりを披露。

 リカが完治につき合う条件を尋ねると
「リカのためにビートルズのコンサートを開く」
「ジョンは?」
「俺が歌う」
「虹をかけてって言ったら?」
「虹はかけられないけど魔法なら使える」
 キスをする完治!


「好きだ」
「どのくらい?」
「(手を広げて)このぐらい」
「そんなもん?」
「(走りまわって)こぉ~~のくらい! 好きだ」
「嘘つきぃーっ」


 デートでなかなか離れることができなくて
「じゃあさ、こうしよう、せーのでいっしょにうしろを向くの」

 そしてリカの恋愛に関する名言が連発!

「わたしのバレンタインは年中無休だもん」

「あたしの好きは一個しかない」

「いつだって思ってます。これが最後の恋だって」

「わたしのことで何を言うのも勝手だけど、カンチのことを侮辱するのは許さない」

 だが、愛情過多が空まわりすると、リカはこんな弱音。

「もうダメ、ここまで。電池切れちゃったみたい。こんなにそばにいるのにね。こんなに遠く見える」

「だったら教えてよ、人をすきならないで済む方法」

 そして、さとみが三上と別れて、完治の心が揺れ始めると……

「カンチの心全部で好きっていってて。ちゃんとつかまえてて。
 私だけを好きって言ってて。でなきゃ遠くに行っちゃうよ」


「コンコン、カンチ。コンコン、ドア開けてよ。
 コンコンってノックしたんだけど、カンチ、返事なかったよ。
 それでも頑張らなきゃだめかなもっともっと頑張らなきゃまだ足りないかな」


 さとみに心が揺れてる完治はリカの想いを受けとめられないと感じていて、
 リカのアメリカ転勤の話が出ると反対しない。

「俺にはリカの人生を背負うなんてことできないよ」

「俺はリカを自由にしてやりかった」

 完治がリカと別れて、さとみとつき合う決心をすると、三上は完治にこう語る。
「ずっと、さとみに安らぎを感じてたもんな。俺とさとみが別れた時、うれしかっただろう。
 だけど、けじめだけはつけろよ」


「彼女に全部話してやれよ。お前が生まれて初めて人を傷つけるんだからさ」

 完治も認める。
「俺はあいつを頼りにして甘えてただけなんだ。ただ、それだけの男なんだ」

 そして別れ。
 リカはさまざまな名言を連発する。

「あたし、がんばったよ。がんばって何度もドアをノックしたけど……。
 誰もいないから寂しいってわけじゃないから。誰かがいないから寂しいから……」


 完治が別れの言葉を切り出せないでいると、
「じゃあ、あたしからフッてあげる」

「泣ければいいのにね。こんなとき。こんなんじゃハッピーエンドになっちゃうよ」

「会いたいから、さよなら言わないよ。ちょっとはさ、惜しいことしたかなって思った?」

 そして気持ちの昇華。

「あの頃の私に教えてあげたい。
 もうすぐあなたは素敵な人に会うんだよ。その人の名前は永尾完治っていうんだよ」


「ちゃんと自分に言ってあげられるよ。『よくやったね』」


『東京ラブストーリー』には、これら以外にも名言がたくさんある。
 特にリカが完治に出した手紙は感動的だ。

 これだけ芳醇な言葉が飛び交う恋愛ドラマを最近見たことがないが、
『東京ラブストーリー』は90年代という時代の産物なのだろうか?
 今は恋愛ドラマでもドライになっている気がする。
 思わず赤面してしまうせりふはダサいとツッコミを入れられそう。
 これが月9がイマイチになった原因なのだと思う。


※関連動画
「東京ラブストーリー」最終話名場面③(YouTube)

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世界がアメリカを見限る時がやって来た~グローバル化は世界の潮流で逆らえないと思うんだけどなぁ

2025年03月05日 | 事件・出来事
・トランプとゼレンスキー大統領の首脳会談決裂。
 これでわかったことは、アメリカはいつでもハシゴを外すってこと。
 まあ3年間続く戦争での厭戦感はわかるよ。
 これ以上、お金も出したくないだろう。
 でもロシア有利に停戦したら「力に拠る現状変更」を認めることになる。
 ここが答えの出ない所だが、わかったことは、
 トランプ政権下では、アメリカはいつでもハシゴをはずすってこと。
 仮に有事になった時、日米安保条約はどう機能するのか?

・カナダ、メキシコに25%の関税。
 中国には20%。
 カナダ、中国は報復関税を表明。
 これってアメリカにとっていいことなのかね?
 結果、アメリカの物価が高くなる。
 報復関税をかけられてアメリカの製品は売れなくなる。
 関税をかけられた国々はTPPとかの無関税のグループでやっていこう、という話になる。

・USAIDが解体されて海外支援事業がストップ。
 アフリカではエイズ対応に関わっていたUSAID職員が解雇されて、
 エイズで亡くなる方が激増するという。
 アメリカがやめたことで中国が支援事業がどんどん入って来る。
 当然、世界は中国寄りになる。
 アメリカはこれでいいのかね?
 GDP1位の国の果たすべき役割とは何なのだろう?

・CIA、FBI、NSAなどの情報機関、捜査機関の職員に早期退職をうながす。
 これでアメリカの安全保障はズタズタ。
 サイバー攻撃されまくり。
 これでいいのかね?

 というわけで
 戦後、アメリカが築いてきた世界秩序はトランプの暴走で一気に壊れてしまった。
 パックスアメリカーナ(アメリカによる平和)は失われてしまった。
 それは世界のリーダーの地位を捨てることでもある。
 どこがMAGA(メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン)なのか?

 世界がアメリカを見限る日は近い?
 トランプのやっていることは『反グローバリズム』なんだけど、
 グローバリズムの潮流は逆らえないと思うんだけどなぁ。

※追記
 ここからは陰謀論の領域になるが、トランプはロシアのスパイらしい。
 会社が倒産しかけた時、ロシアのオリガルヒ(=新興財閥)に援助してもらって
 トランプはロシアに頭が上がらないのだ。
 まあ、トランプとプーチンの急接近を考えると、そう言えなくはないけど。
 サウジアラビアでの停戦会議ではオリガルヒのメンバーが参加していたらしいし。

 ちなみに日本のトランプの熱烈支持者は世界はDS(ディープステート)に支配されていて
 トランプは彼らと戦っている偉大な人物らしい。
 彼らが言うには、CIAもFBIもUSAIDもディープステートに支配されている。
 ヨーロッパの西側諸国も日本のマスコミもすべてディープステートに毒されている。笑
 こういうバカにはなりたくない。

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「べらぼう」 第9回「玉菊灯籠恋の地獄」~このバカらしい話を重三が勧めてくれたことを、わっちは忘れはしないよ

2025年03月03日 | 大河ドラマ・時代劇
 本の感想を語りながら蔦重(横浜流星)に別れを告げる瀬川(小芝風花)。
 本の内容は足抜けする花魁の話だったが、
「この筋じゃ誰も幸せにならない」
 蔦重もそれを認めると、
「バカらしくって面白かったって言ってるんだよ」
「このバカらしい話を重三が勧めてくれたことを、わっちは忘れはしないよ」

 上手い作劇ですね。
 オモテ向きは本の内容の話をしているのに、ふたりは哀しい別れ話をしている。

 蔦重が足抜けの提案をしてくれたことは、バカらしかったけど夢を見られた。
 蔦重が足抜けしようと言ってくれたことが、うれしくて一生忘れない。
 こう語る瀬川の思いがせつない。

 瀬川が蔦重と逃げることをあきらめた理由は──

・小田信之助(井之脇海)とうつせみ(小野花梨)の現実を見たこと。
 何もないふたりが行き着く先は悲惨。
 人別はなく、必然的に食い扶持もない。
 それに加えて吉原の追っ手から追われる生活。

・『瀬川』という名跡を背負う重荷。
 瀬川はこう諭される。
「人生をガラリと変えることがあるのを示すのが『瀬川』の務め」
 瀬川が千両で身請けされれば、次の『瀬川』を目指す花魁が出て来る。
 『瀬川』は吉原の女郎たちに希望を与える存在なのだ。
 同時に、黄表紙に出て来るような女になったら『瀬川』の名が廃る。

 自分を捨て吉原のために生きる決心をした。
『瀬川』を演じきることにした。
 立派な心意気だが、同時にこれでよかったのか、とも思ってしまう。
 とはいえ、これが吉原に生きる女郎の限界。
 心意気を示してプライドを持って生きるしかない。
 ……………………………………………

 前回はカッコイイ親父さんたちだったが、今回は忘八ぶりを描いた。
 吉原の負の部分を徹底的に描いた。

 次々と客を取らされる女郎たち。
 中にはとんでもない要求をしてくる客もいる。
 吉原は時間制なので回数は何回でもいいらしい。
 だから、
「客を取れば取るほど命を削る」
「年季明けまで瀬川にこんなことをさせる気か?」

 男との駆け落ちはもっての他。
 そんな中、足抜けはできなくても好きな男が客として来てくれれば嬉しい。
 だから、
「マブがいなければ女郎は地獄だ」

 前回は市中の陰険さ・偽善を描き、今回は吉原の負の部分を徹底的に描き、
 厚みのある作品になって来ましたね。
 単なる『ビジネス大河』ではなくなって来ました。

 ラストは唐変木・蔦重が自分の気持ちに気づいて瀬川に言った言葉。
「行くなよ。頼むから行かねえで! 俺がおまえを幸せにしてえの。だから行かねえでくれ」
「てめえの気持ちに気づくまで二十年かかったんだぞ。心変わりなんかできねえよ」

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「坂の上の雲」日本海海戦、本日オンエア~T字戦法が炸裂する!

2025年03月02日 | 大河ドラマ・時代劇
 本日(3/2)23時、NHKにて『坂の上の雲』日本海海戦・前編がオンエアされる。

 東郷平八郎(渡哲也)は手を挙げ左側に下ろす。
「取り舵いっぱい」
 左に回頭する戦艦三笠。
 所謂『東郷ターン』だ。

 続く帝国艦隊も左へ。
『T字戦法』開始。

 これは敵に側面を向ける危険な作戦だ。
 直進より標的が大きい分、敵の恰好の的になる。
 だからバルチック艦隊司令長官、いはく
「東郷は狂ったか。これは神のご加護だ」

 側面を向けている時間は10分。
 ロシアはこの『黄金の10分』で撃沈すればいい。
 必死に耐える帝国艦隊。
 バルチック艦隊はアフリカの喜望峰をまわる航海をしてきたので訓練が不十分だ。
 結果、帝国艦隊は『黄金の10分』をしのぎ、反撃。

 戦艦の前と後ろの主砲が火を噴く←側面を向けていたからできること。
 結果、火力は2倍に!
 側面の砲も火を噴く。
 すべての艦が砲撃して、ロシアの軍艦に集中砲火。

 これでバルチック艦隊は壊滅した。
 …………………………………………………………

 僕は戦争反対論者だと思っているが、
 この日本海海戦の映像に心が躍る自分を否定できない。

 この後、秋山真之(本木雅弘)は憔悴して抜け殻のようになってしまうのだが、
 それが戦争の悲惨を描いている。

『坂の上の雲』日本海海戦・前編は本日(3月2日)23時オンエアです。


※関連動画
 Battle of Tsushima (YouTube)

※追記
 今、日本の右派の皆さんは、トランプがゼレンスキー大統領に激怒したことに拍手喝采しているようだが、それでいいのかね?
 ウクライナは侵略してきたロシアと戦っている国だぞ。
 小国が大国に必死に抵抗しているんだぞ。
 まさに日露戦争の日本と同じではないか?
 強い者に尻尾を振る日本人に明治の英霊たちは嘆いているよ。
 三島由紀夫も西部邁も怒ってるだろうな。
 僕は今の愛国保守の皆さんのインチキを感じてしまうのである。

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アメリカ・ウクライナの交渉決裂~力に拠る現状変更が許される時代に?

2025年03月01日 | 事件・出来事
 アメリカ・ウクライナの交渉決裂……。
 トランプ氏は、〝ロシア寄りの調停〟をしているアメリカを批判したゼレンスキー大統領に対し、
「無礼だ」「もっと感謝すべきだ」
「今あなたにはカードがない」
「第三次世界大戦を引き起こしかねない賭けをしている」

 今回の会談の目的はウクライナに眠るレアアースのアメリカとの共同開発。
 共同開発をすれば、それはアメリカの利権であり、アメリカ人も働くので
 アメリカはウクライナへの軍事支援をするというもの。
 結果、アメリカがバックにいるのでロシアは安易に侵攻できない。
 トランプ氏らしいディールだ。

 ゼレンスキー大統領は安全保障と引き換えに、共同開発に同意した。
 ところが実際に会って話してみると、トランプ氏の関心はレアアースだけの様子。
 停戦に関してはロシア寄り。
 ゼレンスキー大統領が「ロシアの非道」を話すとトランプ氏は不快な顔をした。
 2014年のロシアのクリミア侵攻の時、アメリカが黙認したことを話すと、
「アメリカを侮辱するのか」と言い出した。
 ウクライナに寄り添っていないアメリカの姿勢にゼレンスキーの不信感募り、両者は言い合いに。
 結果、交渉は決裂……。
 ……………………………………

 もう少し冷静な議論があってもよかったと思うが、交渉決裂の根底にあるのは──
「終戦の条件」が十分に示されていなかったことだろう。

 ゼレンスキー氏は
「アメリカはロシア寄り」
「ロシアのクリミア侵攻も容認した」
「ということは今回も? 現在の奪われた領土のまま終戦しようとしている」
 と考えた。
 ゼレンスキー氏はこれを到底容認できない。

 一方、トランプ氏にしてみれば「せっかく調停してやっているのに何という態度だ」ということだろう。

 …………………………………………

『力に拠る現状変更は許されない』

 これがこれまでの世界の一般的なルールだった。
 ところが今回のアメリカの大統領は違っていた。

 一応、トランプ氏の主張を良いように解釈すると──
・このまま戦争を続けていてもウクライナは消耗するだけで利益はない。
・それよりは戦争をやめて経済に特化したした方がウクライナの利益になる。
・アメリカもこれ以上、ウクライナのために支援できない。アメリカにとって何の得にもならない。
・このまま続けば欧州を巻き込み、中国も関わって第三次世界大戦になる。
 トランプ氏は理念や理想などが関係ない現実主義者・実利主義者なのだ。

 一方、ゼレンスキー大統領にしてみれば、
・ここで奪われた国土を取り戻せなければ、いままでの戦いが無になる。戦死者が浮かばれない。
・何よりも『力に拠る現状変更は許されない』という世界の共通認識が失われる。

 まあ、トランプ氏の主張もわからなくはない。
 ウクライナ国民だけでなく誰もが戦争終結を望んでいる。
 領土より命、戦争より平和な暮らし。
『損して得を取れ』ではないが、戦争より何かを生み出す経済に特化した方がいい気もする。
 あるいは第三次世界大戦の懸念。
 現に欧州各国はゼレンスキー支持を表明し、欧州軍という話も出て来ているようだし。

 一方、これで決着がついてしまったら、
 力に拠る現状変更は許され、世界は「取った者勝ち」の無秩序状態になる。
 中国は台湾を、イスラエルはガザを。
 北朝鮮は核を見せつけ、ロシアの支援を受けて韓国を?
 日本だって北海道をロシアに取られるかもしれない。

 さて、世界はいよいよ混沌としてきた。
 どちらに行っても最終的な帰結は、核による『リセット』ですかね?
 アインシュタインが語ったように「第四次世界大戦は石の投げ合い」になる?

 人間の意識はこの5000年間何も変わっていない。
 同じ理由ようなで争い、戦争を繰り返す。
 行き違いや感情で争い、憎み合う。
 意識はぜんぜん変わっていないのに、科学技術だけは発達して
 地球上の生物全体を消滅させる力を持ってしまった……。

 僕たちは無意識下で深い諦めと静かな絶望を抱いている。


※追記
 この件に対する右派と左派の解釈が逆なのが面白い。

 某右派
『ゼレンスキーとトランプでは役者が違いすぎましたね。
 助けてもらう立場でマウンティングをかけようとして、軽くはらわれた形、
 映像を見たアメリカ人はウクライナへの支援を拒絶するでしょう。
 何故アメリカ人の金でウクライナを救わなければいけないのか?』

 某左派
『レアメタル植民地思想を世界にさらしたトランプ。
 ウクライナ国民を代表しゼレンスキーは誇りを貫いた。
 感謝するゼレンスキーに「失礼」「感謝しろ」と攻撃。
 第三次世界大戦に突き進むトランプ。日本も欧州各国と支援しよう』

『昔からいざ知らず、今の“愛国的”日本人は「生意気な小国の大統領をこらしめるトランプ様」に喝采するのでしょうね』

 僕はやはり左派だな。
 ただし終戦はしてほしいのだけれど……。

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「坊っちゃん」 夏目漱石~漱石の「明治嫌い」「西洋嫌い」「江戸趣味」

2025年02月28日 | 小説
 夏目漱石の『坊ちゃん』
 作品はこんな感じで始まる。

 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
 小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。
 なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。
 新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃(はや)し立てたからである。
 小使いに負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階から飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。

 見事な始まりですよね。
 これだけで主人公のキャラクターがよくわかる。

 同時にこの文章は名調子の語り口調だ。
『声に出して読みたい日本語』の齋藤孝さんも紹介していたが、朗読して心地いい文章だ。
 さあ、声に出して読んでみましょう♪

 漱石は落語が大好きだった。
『坊っちゃん』は「小説を落語口調で書いてみたら」みたいな意図があったのではないか。

 同時に漱石は西洋嫌い。
 英文学を学び、ロンドン留学までしたが、留学中はノイローゼになってしまった。
『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』(島田荘司・著)は漱石とシャーロック・ホームズが難事件に挑むミステリーだが、ノイローゼ描写が描かれていて面白い。
 ………………………………………………

 さて話を『坊っちゃん』に戻すと、
 坊っちゃんはたまたま通りかかった物理学校の生徒募集の広告を見て入学の手続きをし、
 たまたま物理学校の校長から、四国の中学校で数学の教師の職があると言われて松山に赴任する。
 深く考えず、勢いで行動してしまう所がいかにも坊っちゃんらしいが、
 これは明治の価値観に対する漱石の意思表示ではないか?
 当時の価値観は『帝国大学に入って立身出世する』のが主流だったから。
 これと対照的なのが江戸っ子だ。
 彼らはその日暮らし、自由気ままで上昇志向はない。
 まさに坊っちゃんだ。
 
 漱石の〝明治嫌い〟はこんな所にも表われている。
 松山の中学校で、坊っちゃんは教頭の『赤シャツ』や『野だいこ』らと戦うが、
 いっしょに戦う『山嵐』は〝会津〟出身なのだ。
 坊っちゃんと山嵐はこんな会話をする。
「君は一体どこの産(うまれ)だ」
「俺は江戸っ子だ」
「うん、江戸っ子か、道理で負け惜しみが強いと思った」
「君はどこだ」
「僕は会津だ」
「会津っぽか、強情な訳だ」
 江戸っ子と会津っぽは官軍が嫌い。
 山嵐を会津出身に設定したのには〝明治政府への反発〟の意図があったのだろう。
 漱石は、明治になって「人間が小者になった」「卑怯になった」「ずるくなった」と考えている。
 その代表が赤シャツと野だいこだ。

 坊っちゃんはそんな赤シャツたちを叩きのめして『不浄な地』松山を離れる。
 そんな坊っちゃんが最後にたどりつく場所が、下女の清(きよ)がいる場所だ。
 東京に戻った坊っちゃんは鉄道の仕事をしながら、清といっしょに暮らす。
 清は『坊っちゃん』を読み解く切り口のひとつだと思うが、今回は以下の形でまとめる。

 坊っちゃんにとって清は心の故郷だった。


※追記
『坊っちゃん』で披露される松山弁も音として面白い。
「あまり早くて分からんけれ、まちっと、ゆるゆるやって、おくれんかな、もし」
「然し四杯は過ぎるぞな、もし」
「それや、これやであの教頭さんがお出でて、是非御嫁にほしいとお云いるのじゃがもし」

※追記
 現在、四国・松山の人たちは自分たちの街を〝坊っちゃんの町〟としてアピールしているが、
 どうなんだろう? 何しろ『不浄な地』ですからね。
 まあ、松山の人たちはそれを百も承知で受け入れ、笑い飛ばしているんでしょうけど。

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