平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

青天を衝け 第21回「篤太夫、遠き道へ」~出会いが道を切り拓いていく。慶喜とは『家康の遺訓』を朗誦

2021年07月06日 | 大河ドラマ・時代劇
 篤太夫(吉沢亮)、徳川昭武に随行してパリ万博へ。

「これは僥倖!
 胸がぐるぐるしております! 詰まっていた道が開けました!
 何卒、それがしをパリに行かせて下さい!」

 篤太夫、攘夷はどこに行ったーーーっ!
 まあ、この軽さが篤太夫のいい所なんですよね。
 というより「攘夷」はハシカのようなもので、真剣に国のために何かをしたいと考えていれば、「攘夷」よりは「開国」、「通商による富国」の方がはるかに合理的。
 篤太夫は根っこが商売人であるし、この方がはるかに性に合っている。
 世界を見た篤太夫はどのように成長するのか?

 一方、同じ所にずっと留まっている者がいる。
 尾高長七郎(満島真之介)だ。
 長七郎の時間は停まっている。
 坂下門外の変で死ねなかったことを悔やんでいる。
 牢から出られないせいもあるが、こうした人生はつらいよな……。
 かたやパリや欧州、かたやジメジメした牢の中。
 運命は、ちょっとした判断ミスで大きく変る。
 いろいろ考えさせられるな。
 長七郎、何とか救われてほしい。

 人との出会いも人生を大きく変える。
 篤太夫の場合、まずは平岡円四郎(堤真一)。
 そして、今回パリ行きを命じた徳川慶喜(草彅剛)。
 人生を切り拓くには、人との出会いって大切だよね。
 特に自分を評価し、引き立ててくれる人を大事にしたい。

 慶喜と篤太夫が『徳川家康の遺訓』を共に読んだシーンはなかなか感動的だった。

『人の一生は重荷を負て遠き道をゆくがごとし、いそぐべからず、
 不自由を常とおもへば不足なし、
 こころに望おこらば、困窮したる時を思ひ出すべし、
 堪忍は無事長久の基、いかりは敵とおもへ、
 勝事ばかり知りて、まくる事をしらざれば、害其身にいたる、
 おのれを責て、人をせむるな、
 及ざるは過たるよりまされり』

 これを共に読むことによって、慶喜と篤太夫の心は身分を越えて通じ合った。
 慶喜はこれから襲う困難を見越して、自分に言い聞かせているよう。

 昔の人にはこういう言葉が体に刻まれているんですよね。
 これが生きる哲学になっている。
 彼らに比べて現代人は何とふわふわしていることか。
 こういう『暗誦文化』って大事だと思う。
 もっとも明治になると、子供たちは『教育勅語』を暗誦させられることになるのだが……。

 篤太夫は小栗忠順(武田真治)にも出会った。
 小栗は造船所を造ることに情熱を燃やしている。
「この造船所で徳川が国の役に立ったと言われる日が来てほしい」
 と思っている。
 この小栗の思いは日露戦争で実現するんですよね。
 この造船所で、日本の艦隊が補修したり、船底の貝殻を取ったりしたから、露西亜のバルチック艦隊に勝てた。

 その他、篤太夫は福澤諭吉や福地源一郎などにも会った。
 出会いが、どんどん篤太夫の世界と見識を拡げていく。

 前回は土方歳三にも会ったし、やっと大河ドラマになって来た。


※追記
 劇中にあった、
 小栗が造船所建設や洋式近代装備を揃えるためにフランスと交わした600万ドルの借款。
 これ確か、北海道を担保にして借りてたはず。
 もし返せなければ北海道をフランスに獲られていた。
 当時、北海道は自国の領土という意識はなかったんだろうな。


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