平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒21 「逃亡者 亀山薫」「最後の晩餐」をまとめてレビュー!

2022年11月03日 | 推理・サスペンスドラマ
『逃亡者 亀山薫』(10月26日放送)

 普通に考えれば刑事・羽柴(波岡一喜)が犯人になる。
 クスリの横流しがバレて塩見を殺害した羽柴。
 これを追及する亀山(寺脇康文)が邪魔なので殺人犯になってもらう、という流れだ。
 だが、これでは30分で終わってしまうので、ひとひねりが必要。

 本当にクスリを横流ししたのは誰なのか?
 息子の難病と高額な手術料。
 羽柴も難病で息子を亡くしていた。
 クスリの売人の強請。

 これ以上はネタバレになるので書かないが、
 これらのピースを繋いでいくと真相が見えて来る。

 刑事のしたことは「人としては」正解かもしれない。
 しかし「刑事としては」やってはいけないこと。
 右京さん(水谷豊)は言う。
「不都合な真実を隠し通すことは愛情とは言えません」

 本当の人生は不都合な真実と向き合うことから始まるのだ。
 ………………………………

『最後の晩餐』(11月2日放送)

 何て鮮やかな語り口!
 右京さんはバーで堂島と会話。
 外で亀山が動きまわり、聞き込みをする。
 ふたりの連絡手段はショートメール。
「静」と「動」の見事な連携だ。

 ラストですべてが180度ひっくり返るのもお見事!

 堂島(矢柴俊博)はこんな男だ。
「自分が何かをすれば不幸が起こる。
 だから何も成し遂げず、誰とも深く繋がらず生きて来た。
 自分は空っぽだった。
 だが、娘が現われて、これから娘のために生きようと思った」

 堂島がこう言った理由は、自分のやったことで娘の由季が殺されてしまったからだ。
 由季を失った堂島は死を考える。
 バーのカレーのことが気になり『最後の晩餐』を食べに行く。
 しかし──
 ラストで、こんな堂島の人生が大きく変わる。
 堂島の人生は決して空っぽではなかった!

 キイワードは「別れた亡き妻の梅酒」「バーのカレー」「チャップリンの街の灯」
「亡き妻の手紙」「由季へ」「手切れ金」「クラブのママ」。
 これら散りばめられた伏線がすべて回収される。

 右京さんはラストで語る。
「悲観的になって幕を下ろさなければ、人生はいずれハッピーエンドになる」

 実に鮮やかな物語でした。


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