漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0197

2020-05-14 19:47:46 | 古今和歌集

あきのよの あくるもしらず なくむしは わがごとものや かなしかるらむ

秋の夜の 明くるも知らず 鳴く虫は わがごとものや かなしかるらむ

 

藤原敏行

 

 秋の夜が明けるのも知らずに鳴く虫は、私と同じように悲しい気持ちなのだろうか。

 作者の藤原敏行(ふじわらのとしゆき)は、巻四「秋歌上」の冒頭 0169 に続いての登場。古今集に19首が入集していますが、そのうち八首が秋歌です。また、0578 の次の歌は、この 0197 ととても良く似ています。ほととぎすが登場しますから季節としては夏(収録は巻第十二「恋歌二」)ですが、同じ心情を詠んでいますね。

 

わがごとく ものやかなしき ほととぎす ときぞともなく よただなくらむ

わがごとく ものやかなしき ほととぎす 時ぞともなく 夜ただ鳴くらむ