漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0188

2020-05-05 19:41:34 | 古今和歌集

ひとりぬる とこはくさばに あらねども あきくるよひは つゆけかりけり

一人寝る 床は草場に あらねども 秋来る宵は つゆけかりけり

 

よみ人知らず

 

 一人寝の床は草場ではないのに、秋が来る宵は涙で濡れてしまうことだ。

 「草場」は墓、「つゆけし」は、もともとは露にぬれてしめっぽいさまを表しますが、和歌の世界では特に涙がちな様子の表現に使われます。秋の一人寝の寂しさに、われ知らず涙がこぼれる心情を詠んだ歌ですね。