漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0203

2020-05-20 19:30:22 | 古今和歌集

もみぢばの ちりてつもれる わがやどに たれをまつむし ここらなくらむ

もみぢ葉の 散りてつもれる わが宿に 誰をまつ虫 ここら鳴くらむ

 

よみ人知らず

 

 紅葉の葉が散り積もっている私の家の庭で、誰を待つまつ虫がこれほど鳴いているのだろうか。

 まつ虫を詠んだ歌の最後です。「ここら」は漢字で書けば「幾許」で数が多いことや程度が著しいことを表す副詞。紅葉の葉が散り積もる庭というのは、誰もそこを訪れる者がいない場所を表現しており、女性の立場から、愛しい異性が通ってきてくれない寂しさを詠んだ歌です。