もみぢばの ちりてつもれる わがやどに たれをまつむし ここらなくらむ
もみぢ葉の 散りてつもれる わが宿に 誰をまつ虫 ここら鳴くらむ
よみ人知らず
紅葉の葉が散り積もっている私の家の庭で、誰を待つまつ虫がこれほど鳴いているのだろうか。
まつ虫を詠んだ歌の最後です。「ここら」は漢字で書けば「幾許」で数が多いことや程度が著しいことを表す副詞。紅葉の葉が散り積もる庭というのは、誰もそこを訪れる者がいない場所を表現しており、女性の立場から、愛しい異性が通ってきてくれない寂しさを詠んだ歌です。