漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0184

2020-05-01 19:57:28 | 古今和歌集

このまより もりくるつきの かげみれは こころづくしの あきはきにけり

木の間より もりくる月の 影見れば 心づくしの 秋は来にけり

 

よみ人知らず

 

 木の間から漏れてくる月の光を見ると、物思いの尽きない秋がやって来たと感じることだ。

 歌意はわかりやすいですね。「月影」という言葉は今も使われますが、「影」に文字通りの「影」に加えて「光」という意味もあるのは何とも面白いところ。一見真逆の意味のようにも思えますが、表裏一体とでも言うか、同じものの別の側面を表しているので、同じ「かげ」という言葉で表現されるのでしょう。日本語の奥深さを感じさせる言葉のひとつです。