漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0199

2020-05-16 19:46:33 | 古今和歌集

あきのよは つゆこそことに さむからし くさむらごとに むしのわぶれば

秋の夜は 露こそことに 寒からし 草むらごとに 虫のわぶれば

 

よみ人知らず

 

 秋の夜は、草におりた露が特に冷たいのだろう。草むらごとに虫がせつなく鳴いていることよ。

 夜露は季節を問わず降りるけれども、秋の夜はそれがひときわ冷たいのであろうということを、草むらのそこかしこで鳴く虫の声から想像しています。「寒からし」は「寒くあるらし」を縮めた表現。「わぶ」は「侘ぶ」で、ここではつらく思う、せつなく思う、寂しく思うといった意。