漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0192

2020-05-09 19:43:00 | 古今和歌集

さよなかと よはふけぬらし かりがねの きこゆるそらに つきわたるみゆ

さ夜中と 夜はふけぬらし 雁がねの きこゆる空に 月わたる見ゆ

 

よみ人知らず

 

 夜がふけて、もう真夜中になったらしい。雁の声が聞こえる空に月が渡ってゆくのが見える。

 「雁がね」は「雁が音」で雁の鳴く声の意。さっと読むと「雁金」のことかと思ってしまいますね。 笑

 この歌は万葉集に採録されている歌で、そちらでは柿本人麻呂作とされています(第9巻1701番)。 0185 にも、大江千里作と思われる歌が古今集ではよみ人知らずとされている例がありましたが、このあたりはどのような事情によるものなのでしょうか。

 なお、万葉集から採られている古今和歌集の歌は、他には 0247 に一例があるのみです。こちらは、万葉集、古今集、いずれでも作者は不詳とされています。

 

つきくさに ころもはすらむ あさぎりに ぬれてののちは うつろひぬとも

月草に 衣はすらむ 朝霧に ぬれてののちは うつろひぬとも

 

よみ人知らず