こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな
心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花
凡河内躬恒
あて推量で、折れるなら折ってみようか。初霜が置いて、それと見分けがつかなくなっている白菊の花を。
百人一首(第29番)にも採録された名歌。白菊と霜を重ね合わせた「白」の美しさの情景です。見分けがつかないとはもちろん実際にそうだということではなく、「真っ白な美しい世界。霜と菊の見分けもつかないほど。」という想像上のものでしょう。
「白が白を隠す」と言えば、同じ作者の 0040 の歌。月の白い光に白梅が紛れてしかとは見えず、花の香でそれと知る、という情景です。
つきよには それともみえず うめのはな かをたづねてぞ しるべかりける
月夜には それとも見えず 梅の花 香をたづねてぞ 知るべかりける