古今和歌集 0276 2020-08-01 19:06:05 | 古今和歌集 あきのきく にほふかぎりは かざしてむ はなよりさきと しらぬわがみを 秋の菊 にほふかぎりは かざしてむ 花よりさきと しらぬわが身を 紀貫之 秋の菊が美しく咲いている限りは、それを頭にかざしておこう。花が枯れた後も生きながらえられるかどうかわからないわが身なのだから。 詞書には「世の中のはかなきことを思いける折に、菊の花を見てよみける」とあります。菊を頭に挿すのは長寿を願っての所作。自身が人生の「晩年」を迎えていることを思っての作でしょう。その心中はいかばかりでしょうか。