あきかぜに あへずちりぬる もみぢばの ゆくへさだめぬ われぞかなしき
秋風に あへず散りぬる もみぢ葉の ゆくへ定めぬ われぞかなしき
よみ人知らず
秋風に耐えかねて散ってゆく紅葉の葉のように、行く末の定まらないわが身が悲しい。
秋が深まるにつれ色褪せてやがて散って行く紅葉を、自身の先行きへの不安を象徴しているかのように感じてしまう作者のもの悲しい思い。フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌの「秋の詩」と比較して論じられることの多い歌です。
「あふ」は耐える、持ちこたえるの意で、否定形で使われることが多い語。古今和歌集では、0262 にも登場していますね。
ちはやぶる かみのいかきに はふくずも あきにはあへず うつろひにけり
ちはやぶる 神の斎垣に はふくずも 秋にはあへず うつろひにけり
紀貫之