漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0292

2020-08-17 19:46:15 | 古今和歌集

わびびとの  わきてたちよる このもとは たのむかげなく もみぢちりけり

わび人の わきて立ちよる 木のもとは 頼むかげなく 紅葉散りけり

 

僧正遍昭

 

 

 世を嘆く人が選んで立ち寄る木のもとには、頼るよすがもなく紅葉が散っていることだ。

 「わぶ」は「侘ぶ」で、嘆く、困惑する、寂しく思うといった意。「わび人」は作者自身でしょう。世捨て人である作者にふさわしく、身を寄せる木にはそれを受け止める紅葉の葉ももはや枯れ落ちているという歌ですね。何とも物悲しい情景です。