ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みづくくるとは
ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 韓紅に 水くくるとは
在原業平
多くの不思議なことがあったという神代でも聞いたことがない。竜田川が韓紅色に水を括り染めにしているとは。
0283 ですでにご紹介しましたが、百人一首(第17番)にも採られた名歌。「くくる」は括り染め(=絞り染め)にするという意味で、真っ赤な紅葉の葉が水面を覆うばかりに流れている様子を、竜田川が水を韓紅色の絞り染めにしていると描写し、またそんな光景は神代の時代まで遡っても聞いたことがないと、いささか大げさとも思える賛辞を贈っています。関東在住の私は竜田川に行ったことはありませんが、それほどまでに美しい紅葉を一度はこの目で見てみたいものですね。^^