漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0299

2020-08-24 19:12:00 | 古今和歌集

あきのやま もみぢをぬさと たむくれば すむわれさへぞ たびごごちする

秋の山 紅葉をぬさと たむくれば 住むわれさへぞ 旅心地する

 

紀貫之

 

 秋の山が、紅葉を幣(ぬさ)として手向けているから、そこに住んでいる私までもが旅に出ているような心地がする。

 紅葉を神へのささげ物と見る見立ては一つ前の 0298 と共通。その手向けられた紅葉の美しさが、そこに暮らしている(=旅先ではない)自分にまで旅情を感じさせてくれるという歌。そんな心持にさせてくれる場所で暮らしてみたいものですね。^^