ゆきふれば きごとにはなぞ さきにける いづれをうめと わきてをらまし
雪降れば 木ごとに花ぞ 咲きにける いづれを梅と わきて折らまし
紀友則
雪が降ると、どの木にも花が咲く。どれを梅の木だと区別して枝を折ろうか。
雪を花に見立てる着想の歌が続きます。そして「きごと」は「木毎」、「木」と「毎」で「梅」という趣向。漢詩で、一文字の偏と旁(つくり)を切り離して詠み込んだり、熟語を形成する二文字を分離して一句の首尾に配したりする「離合詩」という技法がありますが、それを和歌に取り入れたもの。0249 にも、「山風を嵐といふ」という一節がありましたね。^^