漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0351

2020-10-15 19:27:47 | 古今和歌集

いたづらに すぐすつきひは おもほへで はなみてくらす はるぞすくなき

いたづらに 過ぐす月日は 思ほへで 花見てくらす 春ぞすくなき

 

藤原興風

 

 普段、無駄に過ごしている月日は惜しいとも思えないのに、花を見て暮らす春の日だけは、そんな日が少ないことが惜しまれてならないものよ。

 主君の后の五十歳を祝うという詞書の記載とは裏腹に、あまり「祝賀」の感じを受けない歌。むしろ残り少ない余生を嘆いているようにも見えますが、あるいは后を春の花に喩えて、その美しさを賛美しているということでしょうか。