ゆくとしの をしくもあるかな ますかがみ みるかげさへに くれぬとおもへば
ゆく年の 惜しくもあるかな ます鏡 見るかげさへに くれぬと思へば
紀貫之
過ぎ去って行く年が惜しいことだ。一年が暮れるだけでなく、真澄の鏡に映る自分の姿もまた、年齢とともに老いていくのだと思うと。
「ますかがみ」は、よく澄んで曇りのない鏡の意。昔はいわゆる数え年で、暦の一年が終わると同時に人も年齢を加えますから、月日の経過に自分の加齢を重ねる感覚は現代よりもさらに強かったのでしょう。
巻第六「冬歌」はこの貫之歌でしめくくり。明日からは巻第七「賀歌」が始まります。 ^^