つるかめも ちとせののちは しらなくに あかぬこころに まかせはててむ
鶴亀も ちとせののちは 知らなくに あかぬ心に まかせはててむ
在原滋春
この歌は、ある人、在原時春がともいふ
千年生きると言われる鶴亀でもそのあとのことはわからないけれども、あなたのご長寿がいくら長く続いたとしても私の心はそれで十分だとはなりません。
末尾の二句がなかなかに難解ですが、「あかぬ心」とは「どんなに長生きしてくださっても、それで十分だという気持ちににはならない私の思い」。そんな作者の思いに「まかせはててむ」とは、相手の長寿をいつまででも寿ぎ続けるということのようです。
作者の在原滋春は平安時代前期の歌人で、業平の子。古今集には、この歌を皮切りに計六首が入集しています。