よろづよを まつにぞきみを いはひつる ちとせのかげに すまむとおもへば
よろづ代を まつにぞ君を 祝ひつる ちとせのかげに すまむと思へば
素性法師
万年の時の経過を待ちながら、松とともあなた様のご長寿をお祝いします。樹齢千年の松の蔭に住む鶴と同じように、あなた様の千歳にわたる庇護の元で暮らしたいと思いますので。
詞書には「・・・むすめにかはりてよみはべりける」とあり、父親の長寿を祝う娘に成り代わって詠んだ歌。「まつ」は「待つ」と「松」、「つる」は助動詞「つ」の連体形と「鶴」のそれぞれ掛詞になっています。父を祝う娘の気持ちになぞらえ、かつ、技巧を凝らした一首ですね。