古今和歌集 0338 2020-10-02 19:26:41 | 古今和歌集 わがまたぬ としはきぬれど ふゆくさの かれにしひとは おとづれもせず わが待たぬ 年は来ぬれど 冬草の かれにし人は おとづれもせず 凡河内躬恒 待ってもいない新しい年は来てしまうが、冬草は枯れ、離れていった人からは何の便りもないことだ。 詞書には「ものへまかりける人を待ちて、しはすつごもりによめる」とあります。大晦日にあたって、確実にやってくる新しい年と、どこかへ行ったきり音沙汰もない待ち人とを対比して嘆息している歌ですね。「かれ」は「枯れ」と「離れ」の掛詞になっています。