漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0957

2022-06-13 06:54:56 | 古今和歌集

いまさらに なにおひいづらむ たけのこの うきふししげき よとはしらずや

いまさらに なに生ひ出づらむ 竹の子の うきふししげき よとは知らずや

 

凡河内躬恒

 

 いまさらどうしてこの子は生まれ育ってゆくのだろうか。竹が多くの節が重なって成長してゆくように、この世の中にもつらいことが多いのを知らないのであろうか。

 詞書には「もの思ひける時、いときなき子を見てよめる」とあります。「いときなし」は幼い意。第五句の「よ」は世の中の意の「世」と、「節」の意の「よ(漢字で書けば『節』)」の掛詞になっています。節が重なって成長してゆく「竹」も、「竹の子」の時点ではまだ節がない。それと同じく、世の中にはつらいことが多いけれども、幼いこの子はまだそのことを知らない、というわけですね。



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