稲刈りほせる
かりてほす やまだのいねの そでひちて うゑしさなへと みえずもあるかな
刈りてほす 山田の稲の 袖ひちて 植ゑし早苗と 見えずもあるかな
稲を刈ってほす
刈って干す山田の稲を見ると、これが袖を濡らして植えた早苗だったとはとても見えない変わりようであったよ。
第五句を「みえもするかな」としている写本もあるようです。そちらですと、「あのときの早苗とわかる」の意になりますが、「見えずもあるかな」の方が、時の経過とそれによる稲の成長への驚きが表現されて、詠み手の感動がより伝わるように思えますね。
この歌は、新古今和歌集(巻第五「秋下」 第460番)に入集しています。