ゆきふりて ひともかよはぬ みちなれや あとはかもなく おもひきゆらむ
雪降りて 人もかよはぬ 道なれや あとはかもなく 思ひ消ゆらむ
凡河内躬恒
私の思いなど、雪が降って人も通わない道のようなものなのだろうか。降り積もる雪に消えてしまう足跡のように、そこにあったこともわからず消えてしまうのだろう。
救いのないほどの孤独と絶望。「雪の降れるを見てよめる」という詞書からは、この歌が作者の実際の境遇・思いなのか、降り積もる雪の情景からの想像の歌なのかはわかりませんが、繰り返し読むほどに切ない気持ちにさせられます。