京都最後の夜は、祇園にある割烹「さか本」へ。
激しい雨のなか四条通から大和大路通をふた筋ほど上がり、白川の手前を東へ。それと分かる看板を見つけて傘を畳み、ビル1階の奥へと進む。
店の戸口は開いており、暖簾をくぐり、靴を脱いで店内へ上がる。
席は、厨房に向かって白木のカウンターに6席、壁際にテーブルが2卓。この時先客はテーブルに1組だけで、私たちはカウンターの奥、白川に面したところに通される。
夜の料理は全ておまかせのコースのみ。
事前にカミさんの苦手な食べ物だけは伝えてあるので、ふんわり暖かなおしぼりとお茶を貰って待つことしばし。
まず出てきたのは木の椀に盛られたご飯と甘酒。
ご飯は少し柔め、というよりも硬めのおかゆと言うべきか。これから始まる料理の心地よい幕開け。
雨のせいか少し冷えてきた夜に、粕汁。
蟹と魚(魚種は失念)のすり身に、鱒の手毬寿司が美しい。
続いて登場、土瓶蒸し。
蓋を取るまでもなく香ってくる松茸の香り。少し魚の風味?と思って蓋を取ると、そこには鱧。
私は茸類があまり得意ではないので、松茸(山口産)は全てカミさんに。
身体のなかが少しずつ温かくなってきたところで、鯛の薄造り。
お造りはもう一品。上下に見えるのはハマチ、左は赤貝。右に見える烏賊は、その手前の雲丹味噌で。
次は碗。ぐじ(アマダイ)の丹波蒸。
ほっくほくの栗と、ふわふわのぐじの身を堪能。
お魚はまだ続く。鰆の西京焼。
いずれも魚の味や身の舌触りが異なる料理で、これだけでもうお腹いっぱい。
ここで一息。すましが出てきたのだが、
具はなんとアーモンド。なるほど、上品なすましにアーモンドの油っ気が映える。
そろそろ終盤、というか料理はこれでラスト。
引き上げ湯葉。
画面中央上、つゆが入った土瓶の隣の穴に炭が入っていて、要するにぐつぐつ煮えている状態。この湯葉をすくい取り、つゆに浸して食べる。
実は私、これまで湯葉を食べてあまり美味しいと思ったことがなかったのだが、要するにまともな湯葉を食べていなかっただけの話。すっかり脱帽。
仕上げはじゃこ飯。
カリカリに揚げたじゃこを楽しみながら、あっという間に平らげる。「おかわりはいかがですか?」と聞かれたが、いつもは大盛常連の私でもちょっと遠慮する。
口直しに梨。
締めのデザートは抹茶。上に乗っているのは丹波の黒豆。
これで全ての料理が終了。
窓を開ければ白川のせせらぎ。傘をさしつつ行き交う人たち。それを見上げるように座るカウンター。こんな角度で京都を見たのは初めて。
外は冷たい雨が続いていたが、身も心もすっかり満たされて、名残惜しい祇園を後にした。
割烹 さか本
京都市東山区祇園末吉町
大和大路東入ル EFビル1F
電話:075-551-2136
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