ダフネ・デュ・モーリアの Rebecca(1938年)読了(邦題『レベッカ』)。
モンテカルロのホテルで「わたし」が出会ったのは、イギリス人の貴族マキシム。倍ほど歳の離れたマキシムは、先年妻のレベッカを海難事故で亡くしていた。
程なくマキシムと結婚し、彼の邸宅であるマンダレーに入った「わたし」は、そこここに溢れる先妻レベッカの存在感に圧倒される。その最たるものが家政婦頭のダンヴァース夫人で、敬愛するレベッカの後釜に納まった「わたし」がどうにも気に入らない。不安と嫉妬で精神的にも追いつめられる「わたし」。そんななか、ある出来事をきっかけにレベッカの死の謎が明らかになる・・・
「ゆうべ、またマンダレーに行った夢を見た」という出だしの一文。そして、一体何がどこに繋がっていくのか全く見えないまま延々続く冒頭の描写。分かるのはただ一つ、夢なのにここまで細かいかと思うほどの、ねっとりと異様な緊張感。
こういう紋切型の言い方は好きではないが、ミステリー小説という枠では括れず、ゴシック小説の流れを引くサイコサスペンス、とでも言おうか。読みながらずっと思っていたのは『嵐が丘』で、そのくらい読み応えのある、重厚な作品。
デュ・モーリアでもう一作。同じくヒッチコックの手で映画化された短編を。
Daphne du Maurier,
Rebecca
(Kindle)
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