Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

バッハ=ブゾーニ/コラール前奏曲 「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV659

2010年06月05日 | 音楽

以前あるバーの記事で、ワイセンベルクというピアニストが弾くバッハのCDを聴いた話をしましたが、そのCDの中に、バッハがオルガン用に作曲した標題のコラール前奏曲を、ピアノ用に編曲したものの演奏が入っています。

そのCDを買った当初はあまり気にならなかったのですが、たままたiPodに入れていたのを会社帰りの電車の中で聴いていた時、この曲のところで不意に、何だか急に気が付いたような気分になりました。

いいじゃん、これ

爾来、帰りの電車の中や、家ではリビングのBoseで繰り返し聴いています。

そうなると、だんだん自分でも弾いてみたくなって、先日表参道のカワイ楽器で楽譜を買ってきました。(因みにこのお店は店頭の在庫と連動したネットショップがあって、今回もそこで検索した内容をメールで問い合わせ、在庫の確認をした上で取り置きをお願いしておいたものです。)



ピアノに編曲したのは、イタリア出身のピアニスト、ブゾーニ(1866-1924)です。超絶技巧で知られたピアニストらしく、楽譜を見て驚いたのは「こんな和音、どうやって弾くんじゃい」という箇所がいくつも出てくること。

その曲の中身については、私なんぞが素人の戯言を並べたてるよりも、実際の演奏を是非お聴き下さい。最初は原曲、オルガンでの演奏です。

J.S.バッハ ”いざ来たれ、異教徒の救い主よ” BWV659


私はキリスト教徒ではありませんが、こういう音楽を聴いていると、神の降臨というのを信じたくなります。安らかで清らか。

これをブゾーニがどう料理したか。ホロヴィッツ晩年の貴重な映像でどうぞ。

J.S.バッハ/ブゾーニ編 ”いざ来たれ、異教徒の救い主よ” BWV659


原曲のオルガンではペダルで弾かれていた低音が、ピアノでは左手のオクターブの厳粛な動きで演奏されています。音の強弱も、ピアノの方がよりダイナミックです(この楽器が「ピアノ(フォルテ)」と呼ばれる所以ですね)。

これら2つの演奏のどちらが良いかということは不毛な議論。ただただ、バッハの素晴らしさ、あるのみ。言葉なんて無力です。

因みにこのホロヴィッツの演奏。普通、ピアノを習い始めたばかりの頃は、先生に「鍵盤はしっかり下まで押さえなさい」と言われるのですが、このホロヴィッツの左手の動きを見ていると、鍵盤の上をさらさらと撫でるように動く指が、あんなにも深い響きを生み出すことに驚くばかりです。

これでまた1曲、一生のうちにマスターしたい曲が出来ました。

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