E. C. ベントリーの Trent's Own Case(1936年)読了(邦題『トレント自身の事件』)。
先日読んだ『トレント最後の事件』の続編。
慈善事業に私財をつぎ込んできた富豪のランドルフが、自宅で何者かに撃たれて殺される。実は死の直前にランドルフ邸を訪れていたのはトレント君なのだが、その足で駅に叔母を見送りに行った際、旧知の友人フェアマンが同じ列車に発車ぎりぎりで飛び乗るのに出くわす。
その後、自らがランドルフ殺しの犯人だと名乗り出たフェアマンが逮捕され、事件は解決したかに思われた。が、警察もトレント君も、ランドルフの自室に残された数々の遺留品がどうしても腑に落ちない。
極めつけは剃刀の刃に残された指紋で、それは使用人の誰の指紋とも一致しなかったのだが、トレント君が自分の部屋に戻ってよくよく調べてみると、それは他ならぬ自分自身の指紋だった。ハメられたと知ったトレント君は起死回生のトラップを仕掛けるのだが、その結末は・・・
前作に比べるとやや冗長な感は否めないが、それでもよく練られたプロット、多少強引だが有り得なくはないかなぁ・・・と思わせるトリックは、なかなか見事で読みごたえ十分。
次はトレント物のラスト、これまた秀作揃いと誉れ高い短編集を。
E. C. Bentley,
Trent's Own Case
(Kindle)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます