Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

バッハ/平均律クラヴィーア曲集

2008年09月04日 | 音楽

ふた晩続けての音楽ネタですみません・・・。

下手の横好きという言葉がありますが、私のピアノはまさにそれです。下手なのに好きなのか、下手だから好きなのか、その辺りはよく分かりませんが、いずれにせよ、(長期的に見て)いつかは弾けるようになりたいと思う曲があることが支えになっています。

最近は楽譜もネットで無料でダウンロード出来ますし、CDを聴きながら楽譜を眺め、「この曲なら頑張れば弾けるかな?」というものをストックしています。そしてその練習を始めるのですが、ただでさえ練習しないので、そのまま何年も過ぎてしまうことが常です。

しかし、ひとつの曲をまず楽譜を見ずに暗譜で弾けるようになり、自分なりの表現が出来るようになる(そんな気分になれる)、要するに完全に「自分のものになる」には、特に私のような素人の場合、ひどく時間が掛かります。それとてプロの技術には届く訳も無く、全くの自己満足なのですが、それでもそうして自分の好きななりに弾けるようになる曲が増えていくのは、とても嬉しいことです。

という訳で掲題のバッハですが、自分の手でどうしても弾いてみたい、弾けるようになりたいと思う曲が2曲あります。奇しくもそれはどちらも(全2巻あるうちの)第1巻の方なのですが、1曲目がその第12番、ヘ短調(BWV857)です。

この曲の楽譜をネットでダウンロードして、練習を始めて恐らく10年(!)くらい経つと思うのですが、最近ようやく「もう少しで自分のものになりそうかな?」と朧げながらイメージ出来るようになってきました。

曲はプレリュード(前奏曲)とフーガという二つの部分から出来ているのですが、私が特に好きなのが後半のフーガ。フーガというのは平たく言うと、同じ旋律が高いところや低いところ、調性を変えながら複数の声部に分かれて出てきて、追いかけっこをしたり合わさったりという風に進んでいく曲のことです。

下の写真はこの冒頭の部分ですが、



左手で始まるこの冒頭の3小節の旋律が、色々な形で複雑に絡み合い、曲が進行して行きます。タイトルの下に「4」という数字が見えていますが、これは全部で4声部あるということで、単純化して言えば、右手で2声部、左手で2声部を受け持つ勘定です。しかもこの旋律、普通の歌のような旋律ではなく、まるででたらめな半音階のような並びです。これを右手と左手で紐解いて行くところに、このバッハを弾く面白さがあります。

かと思えば、曲の中間部には、まるで喜びに満ち溢れたような間奏部があります。随分昔のことですが、知り合いに「バッハは何だか喜びや楽しさが感じられない」と言われたことがあって、その時も違和感を感じたのをよく覚えていますが、このプレリュードとフーガを聴くと、バッハの中には喜びも哀しみも、全部いっしょくたにあるよ、ほら、こんなに!と言いたくなります。

という訳で、本やらCDを梱包した今も手元に置いているのは、レオンハルトが弾くこのバッハのCD(4枚)です。私のCDコンポはCD5連奏なので、これにもう一つのお気に入り、クレーメルの弾くヴァイオリン協奏曲を入れて、都合バッハが5枚。引越しが済むまではこの5枚が私の夜伽です。

え?飽きないかって?

飽きませんねぇ。今日も聴いています・・・

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