ムラヴィンスキーは私の好きな指揮者の一人ですが、その手兵レニングラード・フィルを率いてモスクワで行った公演のライブ録音を集めたボックスセットがHMVから出ています。
CDは全部で7枚あり、初めの4枚が1965年の録音、残りの3枚が1972年の録音です。
ライブ録音ということもあり隔靴掻痒の感は否めないのですが、それでもレニングラード・フィルの弦楽器の鋭さ、ホルンの柔らかなヴィヴラート、地を這うような低弦の強さ、そして何よりも弱音から強音に至る音のレンジの広さは、ビシバシと伝わってきます。
例えば、セットの1枚目はグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲から始まるのですが、このセットを象徴するような圧巻の演奏。
大勢居るはずの弦楽器が縦にビシッと細く揃い、その音はまさに冷徹。しかし決して血が通っていない音楽ではなく、歌うところはしっかり歌い、叫ぶところはしっかり叫ぶ。それは管楽器についても同じで、どんなに大音量の咆哮であっても、音が見事なまでに点で、ピンポイントに揃っています。
パソコンのスピーカーでもそれは十分感じて頂けると思います。
この曲は恐らくコンサートのアンコールで演奏されたのだと思いますが、演奏が終わるか終らないかでお客さんが待ち切れずに拍手の嵐。
このセットには他に、ベートーヴェンの交響曲第5番(「運命」)やモーツァルトの交響曲第39番、ブラームスの交響曲第3番、他にバルトークの「弦チェレ」など、いずれも私は初めて聴くものばかりでしたが、緩急自在、それでいてどこをどう取っても完璧に揃い尽くしたアンサンブルは、見事としか言いようがありません。
他に、これも上記の「ルスラン・・・」と同じくアンコールだと思いますが、ワーグナーのオペラから有名な「ローエングリン第三幕への前奏曲」や「ワルキューレの騎行」が入っていて、これまた圧倒的なスピード感と鉄壁のアンサンブル。まさに鳥肌モノです。
繰り返しになりますが、オーケストラが全員で一つの音、しかも非常に短い音を出しているにもかかわらず、それがあまりにもピンポイントで合っているために、大きな音でありながら、非常に細い響きがします。かと言って、それが軽い音ではなく、ちゃんと芯の詰まった音、馬力のある音になっているところが凄いところ。
今サイトを見ると、私が買った時よりもさらに300円ほど安くなってます
オーケストラの爽快な響きを堪能できます。絶対のオススメです
ムラヴィンスキー & レニングラード・フィル モスクワ公演(1965&1972)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます