ロナルド・A・ノックスの Viaduct Murder(1925年)読了(邦題『陸橋殺人事件』)。
ロンドン郊外のゴルフ場で推理小説談義をしながらゴルフを楽しむ四人組。やがてそのなかの一人が出したOBのボールを探すうちに、鉄道の陸橋の下で顔の潰れた男の死体を発見する。残された遺留品を手掛かりに、にわか探偵と化した四人がそれぞれに推理を巡らす。自殺か他殺か、動機は、凶器は…?
京都から戻って休暇の後半、お天気もイマイチだったので結局ずっと家にいて、好きな音楽を聴きながら読書に明け暮れた。
シャーロック・ホームズ以降の本格推理小説の走りとして、これまでミルンの『赤い館の秘密』(1921年)、メイスンの『矢の家』(1924年)と読んできたが、この作品が一番曲者(もちろん良い意味で)。
素人探偵の推理にこちらも乗ってきたと思ったら何度も肩透かしを食い、結局最後は著者だけが一人にんまり笑っている、そんな感じ。けれどそれが決して不快でないのは、よく練られた文章と、時にユーモア溢れる文体があればこそ。
今回はこちらも時間がたっぷりあったので、じっくり読んで楽しめた。この時代、まだまだなかなか面白い。
Ronald Knox,
The Viaduct Murder
(Kindle)
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