先日アナログプレーヤーを新調した話をしましたが、結局のところ、これは大失敗でした。
鳴らし始めは結構いい音だと思っていたのですが、1週間もすると、これまで慣れ親しんだ音とは違うことに違和感を覚え始めました。そうなると、違和感を感じながら嫌々聴いていることに、どうしても我慢がならなくなってしまいました。
あれこれ考えた末に、レコードプレーヤーを買い直しました。正確に言えば、重要なのはレコードプレーヤーよりも、むしろカートリッジ。先に買った1万円プレーヤーはカートリッジの交換が出来なかったので、まずプレーヤーはカートリッジが交換出来るものを選びました。
そして、写真のカートリッジ。オルトフォンのMMカートリッジで、2M Bronze。デジカメの写真では赤く見えますが、実物はオレンジ色です。因みにオルトフォンのサイトはこちら。
当たり前と言えば当たり前ですが、1万円プレーヤーに付いていたカートリッジとは全く別次元の音が出ます。例えばレコードから出る音の幅が5車線あったとすると、1万円プレーヤーではその真ん中の3車線分しか音が出ず、両端の音はかすれたり潰れたりして飛んでしまいます。その点、このオルトフォンでは、5車線分がたっぷりと、かつ個々の車線が少しずつ広がったかのようなつぶつぶ感で、にじみやかすれのない、伸びのある音がこちらに迫ってきます。求めていたのはこの音です。
それを確信したのは、このレコード。
オーディーマニアの間では、そのオーディオの実力を測るのに適した音源のことを「オーディオファイル」と呼びますが、このレコードはその筋では有名なオーディオファイルの一つ(らしいです。つい最近知りました・・・)。英国デッカ社がウィーンのソフィエンザールに当時最新の機材を持ち込んで行った一連の録音の一つです(録音は1968年)。
ウィーンフィルの温かい弦の響き、弦の奥からにじみ出る柔らかい管楽器の音色。時に録音レベルいっぱいに奏されるトゥッティを、このオルトフォンは負けることなく再生してくれます。特に驚いたのは、普段なら他の楽器の後ろに隠れてしまいがちなファゴットの音が、くっきり分離されて聴こえてくること。オルトフォンの実力を再認識するとともに、音源としてのレコードの価値というものを改めて見直すことになりました。
と言う訳で、今回は少々お高い授業料でしたが、悪いものを経験しないと本当に良いものは分からないということもあるようです。回り道をしましたが、それもまたひとつの経験。自分の中で確実に蓄積されていくことでしょう。
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