のっけから愚痴めいた書き方で甚だ恐縮ですが、うちの家人はクラシック音楽に全く興味を示しません。
私が休みの日にピアノを弾いているのを聴いて、唯一感想めいたことを言う時は、
いつも暗い曲ばかりね
その瞬間、思わず革細工の時に使っている木槌を取りに走ろうかと思うくらい殺意 が芽生えます。
しかしこれは私の選曲がそうなっているからなので仕方ありません。小学生の頃、年に1度の発表会が嫌で嫌でたまらなかった私は、大人になって自由にピアノが弾けるようになってからというもの、人に聴かせるためにピアノを練習するということがなくなりました。
それはどちらかというと自分と向き合うことに近いのですが、例えば弾きたい曲があって、その楽譜を読み解きながら鍵盤を追っていくというその作業は、上手に弾けるようになって人に聴かせることが目的ではなく、あくまでも自分が弾きたいから弾く。それだけ。That's all.
そこに微塵の揺らぎもないのですが、一方で1曲くらい家人が気に入る曲を弾いてみるのも一興かと、ひと思案。ふと思いついたのがこの曲、シューマンの「トロイメライ」。以前 この本 を読んだ時からずっと心に引っ掛かっていました。
早速楽譜を取り寄せてみると、見た目はそれほど難しくなさそうですし、実際ほぼ初見で音は触れます。
しかーし・・・。この曲は、綺麗に弾くのは本当に難しいです。
実はこれまでピアノのコンサートに行った際、アンコールでこの曲が弾かれることが多く、しかし聴いた限りはそれほど難しそうではないのに、どうしてプロのピアニストがこうも頻繁に取り上げるんだろう?とずっと不思議に思っていました。
ですが自分で鍵盤を触ってみて、初めてその理由がよく分かりました。
タイトルの「トロイメライ」の意味は「夢」。その夢見心地の雰囲気が、薄靄の霧のなかにたゆたうような音の響きの中に表現されています。郷愁、そして追憶。それは1音たりとも無駄に出来ない、必要にして十分な音の重なり。両手の指をフルに使って音を紡ぎ、しかも同時に響きを濁らせない。指とペダル、そして両の耳を総動員。
これはなかなか練習のし甲斐がありそうです。
因みに早速家人に聴かせてみると、その感想は、
いい曲ね
ったく、「暗い」か「いい」かしか表現出来んのか・・・
トロイメライは、メロディは頭のなかにずっとありましたが、
譜面を見ながら音を触ってみると、改めてとても美しい曲ですね。
がっつり対峙してパズルを解くように練習する曲も面白いですが、
こういう曲もやっぱりいいなぁと
トロイメライはいち音たりとも無駄がなく流れるようなメロディーは本当に夢のようですね
一年以上ピアノ触ってないかも・・弾きたくなりました(笑)