Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

フランシス・マクリントック/The Voyage of The 'Fox'

2015年03月31日 | 

コンラッドの 『闇の奥』 つながりのラスト。

Penguin版の Heart of Darkness には随分細かい注釈がついていたのだが、そこにやたらと登場したのがこの本。

1845年に北西航路の探検に出発したまま行方不明(その後全滅と判明)になったジョン・フランクリン隊を捜索すべく、1857年にフランクリン夫人が私費で捜索隊を組織する。その隊長がこのマクリントックであり、本書はその航海記録。

マクリントック自身、フランクリン卿が辿ったと思しきルートを辿り、最終的には犬ぞりで陸路を探索するのだが、やがて決定的なメモと遺品を発見する。(この辺りの背景や経緯は Wikipedia が詳しい。)

元々が航海日誌なので、マクリントック自身の筆致も非常にシンプルなのだが、このメモを発見した時のマクリントックの文章は、先達に対する敬意と哀惜に満ちている。

”A sad tale was never told in fewer words. There is something deeply touching in their extreme simplicity, and they show in the strongest manner that both the leaders of this retreating party were actuated by the loftiest sense of duty, and met with calmness and decision the fearful alternative of a last bold struggle for life, rather than perish without effort on board their ships;..."

本書が書かれたのは1859年。正直言うと、前半の航海日誌は単なる記録に見えてあまり面白くないのだが、終盤でキングウィリアム島を犬ぞりで探検する辺りから、これがフィクションではなく事実の記録であること、それがゆえの迫真力と緊張感に圧倒される。それは150年を経た今も全く色褪せていない。

Francis McClintock,
The Voyage of the 'Fox' in the Arctic Seas:
A narrative of the discovery of the fate of Sir John Franklin and his companions

(Könemann Travel Classics)

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