Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

マネとモダン・パリ (三菱一号館美術館)

2010年07月13日 | 美術・芸術

丸の内の三菱一号館美術館で開催中の「マネとモダン・パリ」展に行ってきました。

会社から一番近い美術館で、かつ水・木・金曜日は20時まで開いているにもかかわらず、4月6日の開館以来、なかなか行けずにいました。この日はたまたま金曜日、夕方までで仕事が片付いたので、6時半頃に何とか滑り込むことが出来ました。

平日の日中、昼休みに前を通りかかるたびに、狭い出入り口に人が溢れているのを目にしていたので、この夜も混んでいないか心配していたのですが、美術館の中に入ってみると意外にも人が少なく、ゆっくりのんびり観ることが出来ました。

今回はマネだけで約80点。圧巻の一言に尽きます。この時期、この美術館で、この館長(高橋明也氏)だったからこその開館企画。目当ては勿論その油彩ですが、これまで写真でしか観たことがなかった作品の数々に、圧倒されました。

恐らく会期中にあと何回か行くことなると思いますが、今回印象に残った作品を4点。


(マネ「ビールジョッキを持つ女」1878-1879年、オルセー美術館蔵)

近くの物を大きく、遠くの物を小さく描く、という伝統的な描き方ではなく、マネは思いっきり面(平面)で勝負します。一歩間違えば、物の前後関係が分からなくなってしまうほど、その手法は大胆です。

親友のエミール・ゾラを描いたこの絵もそうです。


(マネ「エミール・ゾラ」1868年、オルセー美術館蔵)

このゾラの服(上着)、写真では分かりにくいのですが、実物を観ると、単に黒一色ではなく、私の目には赤やグレーが塗り重ね(というよりも、練り重ね)られているように見えました。陰影があって深みがあって、実に独特の黒です。

極めつけはこちら。


(マネ「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」1872年、オルセー美術館蔵)

この美術館は小さい展示室(部屋)がいくつにも分かれているのですが、この絵がある部屋にはベルト・モリゾの肖像画だけが5点も並んでいます。しかし、特にこのオルセーの1枚は、観る者に、描かれているモリゾその人に対する恋心を抱かせるような、そんな目線が伝わってきます。実に魅力的。この絵を観るためだけにでも、もう1度行きたいくらいです。

ラストは晩年の静物画。


(マネ「4個のリンゴ」1882年、クーンズ・コレクション)

セザンヌのような厳しさではなく、物を観る目の優しさを感じます。

展示は今月の25日まで。巡回はなく、ここ三菱一号館美術館のみの開催です。お近くの方は是非。

マネとモダン・パリ
三菱一号館美術館
2010年4月26日~7月25日

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2 コメント

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オルセーですか (文泉)
2010-07-13 15:15:22
魚花さん

流石 オルセーですね。

不自由人なるが故、東京にすら
出かけることができません。
増して、おフランスなどは

デ、魚花さんのブログで楽しませて
もらっています。

不自由人 文泉



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文泉堂さん (魚花)
2010-07-13 22:55:23
そんなこと言わずに、たまには東京へお越し下さい。
「東下り」とか言っている時点で、非自由人ですよ

オルセーは、ちょうどいま六本木にも来ていますし、
横浜では9月からドガ(「エトワール」)が始まります。

東京に居ることの便利さは、さすがに捨てがたいですねぇ
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