ブリヂストン美術館の展示が入れ替わりました。
今回の企画展は「うみのいろ うみのかたち」と題して、時代とともに画家にインスピレーションを与えてきた「海」というものをテーマに、コレクションのなかから作品が選ばれています。
展示されている作品自体は、いつもの常設展で見ているものが多かったのですが、今回特に目を引いたのがこの大作。
(ザオ・ウーキー「07.06.85」1985年)
絵葉書をデジカメで撮りましたが、光の加減か、深遠な青が見えてこないですね。ブリヂストン美術館のホームページにある画像もどうぞ。
私は普段抽象画はほとんど見ないのですが、どうしたことかこの絵の前ではじっと立ち止まってしまいました。それが海を描いたとはどこにも書かれていないのですが、この青は深海を思わせるに十分な深さと迫力。絵をどう解釈しようとそれは見る側の自由でしょう、そんな風に想像力を働かせながら、時間を忘れてしまいました。
他に、今回は珍しく藤島武二の作品が多く展示さていました。私が気にいったのはこの小品。
(藤島武二「港の朝陽」1943年)
モネを彷彿とさせるそのタッチ。絵葉書が売っていなかったのが残念です。
最後に常設展から1枚。佐伯祐三です。
(佐伯祐三「ガラージュ」1927-28年)
佐伯祐三の描く壁の文字は、デフォルメされて画面をはみ出さんばかりの躍動感で、それだけを見ると若干おかしいのですが、少し離れて絵全体としてみるとちゃんと調和が取れているという、不思議な絵です。
と言う訳で、また会社帰りにふらっと寄るのが楽しみになったのでした。
うみのいろ うみのかたち
ブリヂストン美術館
2009年7月11日~10月25日
ちょうど今、ピアニストの青柳いづみこさんのドビュッシーを読み、ピッタリの文章に出会いました
「彼の海を聴くとき、中略、太古の海、人間がこの世に生まれ出る前に浸かっていた羊水の記憶、性の海」
絵も見たいし、ドビュッシーも聴きたくなりました!
素敵な文章ですね。
私も船で釣りをしながら、大きな海に抱かれているような
錯覚に陥ることがあります。
深さを考えるとぞっとするのですが、けれどどこか
惹かれるものがあるのです。
久しぶりにアンセルメのCDを聴いてみようかなと思っています。