毎年8月9日~11日に開催されている、北海道最古のお祭りにして北海道遺産にも認定されている、江差町の「姥神大神宮渡御祭」。
写真は五年前のものだけど、十三台もの山車が練り歩く勇壮ぶりは、一度観るとしっかりと目と心に焼き付きます。
ところで、この「山車」、普通は「ダシ」と読むところ、このお祭りに関しては、ひいては江差の人達にとっては「ヤマ」と読みます。
勿論私もそれは知っていたけど、何ゆえそのように読むのだろうという会話になった際に答えられなかったので、ここで調べてみました。
この渡御祭でいう「ヤマ」とは、屋体の上に、神の依代として、一本の青木(トドマツ)を立てることを「ヤマを立てる」と表したことに由来しているそうです。
これは、京都の祇園祭の系統を引いているものであり、青木や船の帆柱を依代として神が降臨する神域という意をこめて「ヤマ」ということで、江戸の祭りにおいて移動する屋台を「ダシ」と呼ぶのと区別しているのだそうです。
本来、この「ヤマ」とは、シンボルである青木の高さが、2階建ての建物をも凌ぐものであるそうなのだが、1915年(大正4年)に電気会社が創業し、道路電柱や電線が設置されたことで、高い「ヤマ」が通行できなくなり、低くせざるを得なくなるという状況になりました。
それ以降、現代では、守護神として屋台に添えられた人形が形式化され「ヤマを立てる」と表現するようになったとのことです。
写真は、十三台の山車の中で一番古い、愛宕(あたご)町の「神功山(じんぐうやま・じんこうざん)」。
神功皇后の人形を乗せており、朝鮮半島における「三韓征伐」の際、肥前国の玉島川で、鮎を釣って勝敗を占われたという伝説を模ったとされており、安産の守護神として篤い信仰の対象となっています。
この人形は、京都の人形問屋(やはり京都との関わりがあったんですね)が納めたもので、1754年に初めて市中を巡行したと伝えられており、1963年(昭和38年)12月24日、北海道有形民俗文化財に指定されています。