「最高の友で最悪の敵」マティス氏は現役時代、自ら率いた第1海兵師団のモットーを好んで用いた。味方として戦えば頼もしいが、敵に回せばやっかいな存在という意味だ。トランプ政権は日本にとって最高の友となるか?それても最悪の敵になるのか?米国を敵に回すことなど想像もしたくありませんが、指先介入を繰り返すトランプ大統領にとって「マッド・ドッグ」マティス国防長官の来日は日本のみならず世界にとっても試金石となる。
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米国のマティス国防長官が3日、トランプ政権の閣僚として初めて来日し安倍晋三首相と会談する。正式就任から約2週間という早さで、韓国とともに初外遊先として来日するのは異例。日本としてはトランプ政権下でも日米同盟に揺るぎがないことを示す機会としたい考えだ。
菅義偉官房長官は2日の記者会見で、マティス氏の来日について「アジア太平洋地域における米国のコミットメント(関与)を示すもので大変意義がある」と語った。米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の沖縄県・尖閣諸島への適用に関しては「トランプ新政権でも確認していきたい」と述べ、マティス氏との会談でも確認する考えを示した。
また、北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル開発や中国による海洋進出など地域情勢に関する認識を共有。米国の拡大抑止(核の傘)の維持や米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への移設方針を改めて確認する。
マティス氏は中東などでの軍事作戦を統括する中央軍司令官など要職を歴任。承認前に米上院軍事委員会の公聴会に提出した書面証言では「同盟国と緊密に連携しなければならない」と同盟重視の考えを示した。
日本側は「マティス氏が安全保障政策のキーパーソン」(政府関係者)とみている。首相との会談は形の上では表敬だが、1時間近くの時間をとった本格的な会談となる予定だ。
共和、民主両党議員らと会談を重ねた外務省幹部は「悪く言う人は一人もいない」と語る。退役後7年間は軍人の国防長官就任を禁止する規定の特例に反対した議員ですらマティス氏への尊敬を口にしたという。
自衛隊内では、現役軍人時代の明晰(めいせき)さでマティス氏の名前は記憶されている。
10年ほど前、米軍では統合作戦構想「効果重視作戦(EBO)」が主流となり、日米合同演習でも用いられた。空爆主体で敵の急所を攻撃する構想だが、拠点制圧を軽視しており柔軟性に欠くとの批判が絶えなかった。当時の陸自幹部は「米軍が何をやろうとしているか分からないという不満が募っていた」と語る。
混乱に終止符を打ったのが、2008年当時統合戦力軍司令官のマティス氏だった。EBOの使用を一切禁止し、批判論文も発表した。防衛省幹部はマティス論文について「現場での戦闘経験と学者並みの知識が融合しなければ決して書けない内容だ」と舌を巻く。
「最高の友で最悪の敵」
マティス氏は現役時代、自ら率いた第1海兵師団のモットーを好んで用いた。味方として戦えば頼もしいが、敵に回せばやっかいな存在という意味だ。