高級クラブは現在、新型コロナウイルス感染症の影響で大きな打撃を受けている。銀座のクラブやバーなどの飲食店が加盟する「銀座社交料飲協会」によると、2020年の春には約1,200店が加盟していたが、閉店や休業が相次ぎ、現在は1,000店に満たないという。コロナ禍で支給された、一律1日6万円の協力金では維持していけない店舗が相当数あり、ごく小規模なところは逆に“協力金バブル”になる矛盾が生じている。ある有名クラブのオーナーママは❝ 銀座はこれまで主にビジネスマンを相手にしてきました街ですが、コロナの影響でリモートワークなどが定着し、ビジネスマンが銀座で飲む習慣がかなり失われ、これまで常連さんとして来てくださった方が復活しない可能性も十分あります。新たなお客様を取り込んでいかないと銀座の街の活気がなくなってしまう、という危機感があるんです」 2008年のリーマン・ショックのときは銀行が自宅に連日、借金返済のために押しかけ、和食店のリニューアルオープンの準備をしていた2011年は東日本大震災後に一時、お店を開けているだけで抗議の声が殺到する経験もした。そんな試練を乗り越えて迎えた2019年は、シャンパンの売り上げが銀座史上、最高額を記録。この上昇ムードで翌2020年の東京五輪を迎えられれば、外国人の観光客も多数迎えられるかもしれない…。 しかし理想と描いた光景は2020年1月、コロナが日本に上陸して一瞬にしてかき消された。同年4月に緊急事態宣言が出ると5月いっぱいまで完全休業。銀座の街はゴーストタウンと化した。その後、1年3カ月ほど経過した昨夏、東京五輪が行われていた時期にデルタ株が上陸した時も、店は時短で営業してもお酒を出せなかった。 リーマンショックの時も東日本大震災のときも大変でしたけど、今回はその比ではないです。まず、こんなに長引くと思っていませんでしたから。商売をする身としては悪い夢でも見ているような気分でした。今までは50~60代の方を相手にしていましたが、最近は30~40代の方が増えてきて、明らかにお客様の流れが変わってきているんです。空いたテナントにも若い経営者の方が入ってきている。昭和の飲み方をされる年配の人に比べると、今の若い人たちの方が飲み方もキレイで、お店の間でも評判がいいんです。❞
昔も今も、一流ビジネスマンの社交場とされる銀座は「男のステータス」を測る場とされてきた。お客も、もてなす側のお店も、一流であることを求められた。仮に地方で大成した店が銀座で出店しても9割が1年足らずで撤退すると言われる。平均寿命はわずか11カ月。1年もたないのだ。
銀座の金銭感覚
銀座の飲食店の賃貸料は1坪2万8000円から3万5000円と言われ、「やっぱり銀座は特別な場所で、いい意味で普通じゃない人がたくさんいて面白いんです。いわゆる粋なカッコいい生き方をしている人ですね。お客様も仕事を頑張らないと銀座に来られないし、私達も頑張っていないとみんなで生き残れない。お互いにリスペクトしているところがあるんです。お酒を飲める場所はほかにもあると思いますが、銀座のこの世界は絶対、他の場所にはない。
※クラブは「箱」と呼ばれるビルの一室を借りて営業する。
坪数三十以上〜八十坪前後の大箱が、いわゆる高級クラブである。
一日二百五十万以上、月五千万の売り上げが店を維持する上での最低必要ライン。ボトル代は平均三、四万。現在の主流はVSOPヘネシー、シーバスリーガル十二年熟成、オールドパーが名を列ねる。
ひと度席に座ってボトルを入れれば、自動的についてくるオードブル(調理品)、スティック(ポッキー類)、チャーム(乾きもの)と呼ばれるおつまみがひと皿、ニ、三千円。ミネラルウォーターが二千円に化ける世界。これにテーブルチャージ オールチャージ ボーイチャージ ホステスチャージ サービスチャージTC、AC、BC、HC、SCとついてたちまち十万、二十万を越える。
店は舞台。「係り」と呼ばれる女性が主役で、蝶ネクタイに黒スーツ姿の、「黒服」と呼ばれる男たちが黒子となってサポートする。
ホステスは大きく分けて「売り上げ」と「ヘルプ」の二種類。
「売り上げ」と呼ばれる女性は指名制の顧客を持ち、一卓を借りてどれだけ商売ができるか、ノルマで稼ぐ自営業の女性である。
「ヘルプ」は店側で決められた時給制。一日平均三万の保証額で「売り上げ」の女性をサポートする女性を指す。
月一千万近く売り上げ、五割の五百万をその取り分とする女性は、チーママ、ママクラスと言われる。
坪数三十以上〜八十坪前後の大箱が、いわゆる高級クラブである。
一日二百五十万以上、月五千万の売り上げが店を維持する上での最低必要ライン。ボトル代は平均三、四万。現在の主流はVSOPヘネシー、シーバスリーガル十二年熟成、オールドパーが名を列ねる。
ひと度席に座ってボトルを入れれば、自動的についてくるオードブル(調理品)、スティック(ポッキー類)、チャーム(乾きもの)と呼ばれるおつまみがひと皿、ニ、三千円。ミネラルウォーターが二千円に化ける世界。これにテーブルチャージ オールチャージ ボーイチャージ ホステスチャージ サービスチャージTC、AC、BC、HC、SCとついてたちまち十万、二十万を越える。
店は舞台。「係り」と呼ばれる女性が主役で、蝶ネクタイに黒スーツ姿の、「黒服」と呼ばれる男たちが黒子となってサポートする。
ホステスは大きく分けて「売り上げ」と「ヘルプ」の二種類。
「売り上げ」と呼ばれる女性は指名制の顧客を持ち、一卓を借りてどれだけ商売ができるか、ノルマで稼ぐ自営業の女性である。
「ヘルプ」は店側で決められた時給制。一日平均三万の保証額で「売り上げ」の女性をサポートする女性を指す。
月一千万近く売り上げ、五割の五百万をその取り分とする女性は、チーママ、ママクラスと言われる。