環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加する日本など11カ国は31日、英国の加盟を認めることで大筋合意した。2018年に協定が発効して以降、新規加盟が認められるのは初めて。英国の加盟により、TPP経済圏はアジア太平洋地域から欧州へと拡大することになる。
英国は早ければ7月にニュージーランドで開催される閣僚級の「TPP委員会」で協定文書に署名する見通し。署名後、各国の承認手続きを経て、英国の加盟が正式決定する。
英国は20年末に欧州連合(EU)から離脱完了し、EU以外との経済関係を強化する狙いから21年2月にTPPへの加盟を申請した。英国が加盟すれば、世界全体の国内総生産(GDP)に占めるTPP加盟国の合計は12%から15%に拡大する。
TPPは16年に日本やオーストラリアなど12カ国で署名したが、米国がトランプ政権下の17年に離脱し、バイデン政権もTPPへの復帰に消極的だ。一方、21年9月に中国、台湾が加盟を申請。その後エクアドル、コスタリカ、ウルグアイも申請している。TPPを主導する日本は英国の加盟を協定拡大の呼び水にしたい考えだ。
英国の加盟後は、中国、台湾との加盟交渉が焦点になる。中国は国有企業への不透明な補助金や進出企業に対する技術移転の強要などが問題視されており、日本など参加国はTPPが掲げる「高水準のルールに基づく自由貿易」を維持できるよう厳しく審査する構えだ。
加盟国
日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、ベトナム、ブルネイ、チリ、マレーシア、ペルー