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香港の不動産市場が停滞!本土に先駆け3分の1以下に

2023-12-09 10:15:18 | 日記
香港の不動産市場は長らく大きな富を生んできた。香港の億万長者ランキングで上位を占めるのは、不動産開発を手がける人々だ。彼らは、地価をうまく扱って利ザヤを拡大できる広い開発用地を入手することで富を築いてきた。
ところが近ごろ、そうした開発業者と、借地権の最大の売り手である香港政府とのあいだで、土地評価額を巡る衝突が起きている。それが膠着状態を招き、香港経済の勢いを削ぐ結果となっている。
不動産市場の頂点にいるのは、すべての土地を所有する香港政府だ。過去には、歳入の50%以上を、借地権の入札に頼っていたこともある。
金融サービス企業MSCIで、アジア地域の資産取得状況を追跡するアジア有形資産リサーチ部門を率いるベンジャミン・チョウは、「活気のない現在の状況は、香港の投資市場が4~5年前の最盛期と比べてどれだけ落ち込んでいるかを示す、残念なしるしだ」と話す。
「入札が不調なのは、買い手と売り手のあいだで、価格に対する期待の隔たりが広がっていることも示している。その悪影響は、オフィスや小売といった従来の商業セクターだけでなく、土地の売却市場にも及んでいる」
MSCIによると、政府と民間企業双方による借地権販売は、2009年以来の最低レベルに落ち込んでいる。チョウによると、政府案件におけるその原因は、開発業者の意欲低下だけではない。評価額を下回る入札価格では借地権を売らない、という政府の判断にも問題があるという。
政府が2023年にかろうじて売却した2区画のうちの1つは、九龍の啓徳エリアにあり、MTRの駅が近い。9月時点の価格は、1平方フィート当たり5392香港ドル(約10万円)だった。この付近で4年前に取引された区画が1平方フィート当たり1万7600香港ドル(約33万円)だったので、そこから3分の1以下に下がったことになる。同エリアでは、2014年以来の価格だ。
もう1カ所は、香港島ケネディタウンの一等地で、2023年7月に1平方フィート当たり7071香港ドル(約13万円)で取引された。業界コンサルタントJLLのデータによると、同地域の不動産として、この価格は2002年以来の最低水準だ。
ある匿名の開発業者はこうした状況について、「三重苦による負の連鎖」と表現した。つまり、香港ドルがドルペッグ制(為替レートが1米ドル=7.75~7.85香港ドルに固定されているシステム)を採用していること、金利上昇、購買意欲の低下だ。
JLLは、政府の借地権販売に関する覚書のなかで、このところ価格が割安なのは、「市場の景況感が低下していることと、建設費ならびに資金調達コストの上昇を考慮した上で、開発業者が借地権入札について慎重姿勢を崩していないこと」を示唆している、と述べている。
香港最大手の不動産仲介業者、中原集団(センタライン・グループ)の創業者で会長の施永青(Shih Wing-Ching)は、香港のいくつかの不動産投資家が資金的にひっ迫していることを認めている。例えば、いまは亡き不動産王、鄧成波(Tang Shing-bor)の一家もそうだ(「Uncle Bor(波叔)」として知られた同氏は、コロナ禍の2021年5月にこの世を去った)。
とはいえ香港は、一般的に言えば、本土中国の市場を苦しめている過剰供給や、レバレッジ比率の高い債務超過に悩まされてはいない。「香港の不動産市場が抱える唯一の問題は、価格が高すぎることであり、その対処は比較的容易だ」と、施会長は付け加えた。
MSCIのチョウは、香港の大手開発業者トップ8が近年、土地の取得を抑制していることを指摘した。これらの開発業者による土地取得額は、2019年前期に138億ドル(約2兆円)とピークに達したが、2023年前期には8億400万ドル(約1170億円)まで減っている。
香港にとってもうひとつの救いは、本土中国の開発業者があまり浸透していないことだ。施会長はこう述べている。「本土の開発業者が、香港で開発プロジェクトを手がける場合は、現地代理店を通す必要があり、その最大手のひとつが我々だ。本土デベロッパーの市場シェアはとても小さいため、香港におけるインパクトはそれほど大きくはない」

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